「地元に住めない」2度の災害に襲われた人の現実 日本全国「他人事じゃない」事態をどうすればいいのか

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川原農産では、化学肥料や農薬をほとんど使わないやり方で米を育てている。写真は、ボランティアの手も借りつつ収穫した今年の栗。(写真提供:川原さん)

能登では、ボランティアを募集しています

川原さん一家の震災からの日々、マンガに描いたのはほんの一部です。震災当日に現地にいなかったことに罪悪感を抱えながら情報発信に奮闘したり、中学校集団避難していた息子さんがコロナに感染したときは父子ふたり暮らしをしたり、お子さんの受験に奔走したり、應貴さんの膝の持病が悪化したり、個人でもボランティアを集め続けたり、東京など遠方にも農産物を売りに行ったり、水害から逃れたわずかな収穫を出荷したり、文字通りの怒涛の日々でした。そんななか、お子さんたちが育った家は、やっと公費解体工事の順番がきて、ついに取り壊されました。

能登の被災住民の行政への思いには居住地や被災具合などによってかなりグラデーションがありますが、町野町は能登の中でも被害が大きく、復旧に時間がかかっている場所です。地震からの復旧の遅れは、水害の被害をさらに拡大させました。そんなこともあり、應貴さんは「与党も野党も、誰の言葉も僕には信じられない」と言います。「米」という日本の芯を支える農産物を生産し、少子化の日本で5人のお子さんを産み育ててきた人がこういう気持ちになっている、そういう現実が能登にはあるのです。

もうじき、能登は雪に埋もれる冬がやってきます。その前に少しでも復旧作業を進めるべく、地元の人、工事業者、そして全国から駆けつけたボランティアの人々が奮闘しています。能登では、現在もあちこちでボランティアを募集しています。

最後に、川原さんの1月6日のInstagramからの「子どもが宝です」と題したテキストを、一部抜粋で紹介します。

「子どもたちがいてくれて本当によかった。この子らが居なければ前を向いた決断はできていなかった。全くのゼロじゃねー。俺には生きる術がある。逞しく生きる能登爺ちゃん婆ちゃんの生きた辞典みたいな財産もある。地震は怖い。だけどそれを上回る豊かさが奥能登にはある。何より俺には守るべき子どもたちがいる。今朝数時間だけ一緒にいたが、どの子もどの子も最高の俺の宝物。お父は、普通じゃないぞ!お父は、先を見てるぞ!お父は、生き抜く姿勢を見せたるぞ!お父と、未来を創るぞ!おもしれー奥能登・輪島・町野の礎をここから創ってく!子どもの笑顔はサイコーや!俺の元気の源。俺の大切な5人の子と最愛の嫁さんに。笑える未来をプレゼントしたる!そして今回挫けそうな背中を、たくさんの手が支えてくれている。こんなすげ~財産がいっぱいある俺が、この先の未来を創れないわけがない!」
この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。
ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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