「NHK"旧ジャニ起用"」への批判がピント外れな訳 賛否の「NHKスペシャル」があぶり出した"本当の責任"

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NHK側は否定しているが、このタイミングでSTARTOのタレントの起用を発表したのは、年末の紅白歌合戦を意識してのことだと見ている人も多い。

紅白歌合戦にSTARTO所属のタレントが出演することは、故ジャニー喜多川氏の性加害問題が一段落ついたという、“禊(みそぎ)”としての意義は大きい。では、ビジネス面で見るとどうだろうか?

2023年の大みそかは、紅白歌合戦の裏で、旧ジャニーズ所属のタレントは1組も出演できなかった。一方で、同事務所所属グループのSnow ManはYouTubeで生配信を行い、最大133万人の接続数を集め、日本歴代1位の記録を達成している。

そうした事実を踏まえてか、ファンの中には、「NHKにすり寄る必要はない」「NHKの番組に出演しなくてもよい」という声も大きい。

ビジネス面に関しては、STARTOのタレント起用は、STARTOよりもNHKにとってのメリットが大きいのではないだろうか? そうであれば、NHKはSTARTOに対して強気に出ることもできないだろう。

これからNHKが負うべき「責任」

NHKがSTARTOのタレントを起用したいならすればよいだろう。ただし、報道においては、以下の点について、しっかりと検証し、伝えていくべきだ。

1. STARTOとSMILE-UP.は本当に経営分離ができているのか?
2. SMILE-UP.は、被害者と誠実に向き合い、補償と救済が正しく行われているのか?
3. ジャニーズ問題に関するNHK側の問題について、十分に検証され、総括がなされたのか?

STARTOのタレントを起用するにしても忖度や圧力は一切なしに、上記の役割を果たしていくこと。それが、「公共放送」であるNHKが、今後担うべき責任である。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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