「NHK"旧ジャニ起用"」への批判がピント外れな訳 賛否の「NHKスペシャル」があぶり出した"本当の責任"

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NHKは、STARTOのタレントの起用に踏み切った理由として、「被害者への補償、再発防止への取り組み、両社の経営分離が着実に進んでいることが確認できた」と説明しているのだが、これには疑問が残るところだ。

理解が追いついていない人も多いのだが、旧ジャニーズ事務所の後継企業はSMILE-UP.であり、STARTOは新しく設立された企業だ。ただし、旧ジャニーズ事務所に所属していて、退所していないタレントは、STARTOに移っている。

メディアがタレントを起用する際は、SMILE-UP.ではなく、(新しい企業である)STARTOと契約することになる。

被害者への補償と救済は重要ではあるが、それはSMILE-UP.が行うべきことだ。STARTOとの契約が問題ないかどうかは、NHKの説明の後半部分の「経営分離が着実に進んでいるか」どうかが重要である。

番組の中で批判を浴びた、SMILE-UP.の補償本部長による被害者遺族に対する対応は、「わからない」を繰り返し、「心の底からお詫びができない」などと話す内容で、確かに誠実さに欠けて問題があった。

補償対象者や補償完了者の数字だけを見ると、補償は順調に進んでいるように見えるが、このシーンを見てしまうと「SMILE-UP.は被害者に誠実に寄り添う気持ちがあるのか?」という疑念を持たざるをえなくなる。

ただし、これによって「NHKはSTARTOのタレントを起用すべきではない」とするのは、先述の理由から適切ではない。

STARTOのタレント起用は、NHKにとってのメリット

タレント起用において問題にすべきなのは、繰り返しになるが「経営分離」である。番組の中では、NHKの元理事が、ジャニーズ事務所顧問を経て、現在STARTOの顧問となっている――という事実が語られた。

しかし、これだけを見ると「本当に経営分離ができているのか?」という疑問が生じてくる。

筆者としては、NHKがSTARTOのタレントを起用すること自体は否定しないが、NHKは上記の事実を解明し、問題は追及し続けるべきであると考えている。

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