首位から5位へ凋落した「ワーゲン」反撃への狼煙 EVシフトの旗手…ではなかったしたたかな姿
かつて、輸入車ナンバー1の販売の座を長らく守っていたのは、大衆ブランドであるフォルクスワーゲンであった。ところが近年のフォルクスワーゲンの販売はふるわない。
直近である2024年度上半期(4~9月)の輸入車新規登録台数を見ると、1位はメルセデス・ベンツ、2位がホンダ、3位がBMW、4位がアウディ、そして5位がフォルクスワーゲンだ。フォルクスワーゲンは、首位を守るどころか5位にまで順位を落としている。
2020年代を振り返れば、フォルクスワーゲンの年間販売台は、ほぼ“万年3位”というポジションで年間3万台レベル。しかし、2000年代から2010年代前半のフォルクスワーゲンは、不動の1位を守っており、販売数も2000年代は4万~5万台、2010年代は5万~7万台に達していた。
なぜフォルクスワーゲンは、輸入車ナンバー1の地位を落としてしまったのだろうか。
先日、参加したフォルクスワーゲンのコンパクトSUV「T-Cross(ティークロス)」の試乗会にて、フォルクスワーゲン・ジャパンの商品戦略担当者に、その理由を尋ねてみた。
すると「輸入車ナンバー1の地位を守れなくなったのは、ディーゼルゲート事件の悪影響でしょう」と言う。
たしかに、フォルクスワーゲンが1位の座から陥落してしまったのは、2015年のディーゼルゲート事件が発覚した年度からだ。
実害なくともイメージ悪化で販売減へ
ディーゼルゲート事件とは、フォルクスワーゲンが販売するディーゼル車のエンジンに、試験時のみ排ガスの数値を良く見せるための不正なプログラムを使用していたというもの。
その対象は主にヨーロッパやアメリカで、実際のところ日本で販売されたフォルクスワーゲン車に影響はなかった。
しかし、イメージの悪化は免れずに、販売数は確実に減少していった。2014年度は年間6万2439台を売って輸入車販売1位であったが、2015年度は5万333台で2位になり、2016年度は4万7726台となって3位にまで順位を落としてゆく。
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