首位から5位へ凋落した「ワーゲン」反撃への狼煙 EVシフトの旗手…ではなかったしたたかな姿

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販売の主力は、エンジン車の「ゴルフ」であり、「ポロ」「T-Roc」、そしてT-Cross。つまり、ID.4導入以前から現在に至るまで、日本での販売の主力は、常にエンジン車であったのだ。

EVの旗手のように見えるフォルクスワーゲンだが、それは完全なイメージ先行で現実はそうではない。

筆者は、このギャップに近年の日本市場不振の理由があると考えている。電動車のイメージが先行しすぎて、販売の主力となるエンジン車の存在感が弱くなっていたのではないか。

フォルクスワーゲンのエンジン車の魅力は、今なお健在だ。2024年7月にマイナーチェンジを受けたT-Crossを試乗して、その良さを再確認した。

試乗会で乗ったのはTSI Styleという主力グレード(筆者撮影
試乗会で乗ったのはTSI Styleという主力グレード(筆者撮影

T-Crossのマイナーチェンジは、デザインの変更と装備の充実が主な内容。搭載されるエンジンは、3気筒1.0リッターガソリンターボで、パワーは85kW(116PS)しかない。シャシーも5年前のデビューのままだ。

しかし、高速走行時の安定感と安心感は、さすがのものがある。硬質なインテリアデザインもドイツ車らしい雰囲気だ。

インテリアの質感が大幅に良くなったことも新型「T-cross」のポイントのひとつ(筆者撮影)
インテリアの質感が大幅に良くなったことも新型「T-Cross」のポイントのひとつ(筆者撮影)

全長4.2m未満というサイズ感は日本国内でも扱いやすく、価格も329万9000~389万5000円と手ごろ感あがる。

扱いやすいコンパクトSUVでありながら、ドイツ車らしさが十分にあり、価格も輸入車としては手が出しやすい。フォルクスワーゲンの“クルマづくりの底力”を感じさせる内容であったのだ。

失敗を繰り返さずに

そうしたエンジン車の魅力をうまくアピールできなかったのは、日本だけではなく世界を覆った強烈な電動化の風が理由のひとつであろう。また、電動化の旗手というイメージでありながら、実際の売り物となる電動車を用意できなかったのも、フォルクスワーゲンの失敗と言える。

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