E・レヴィナス『存在の彼方へ』合田正人 訳/講談社学術文庫
リトアニア生まれのユダヤ人であった哲学者、レヴィナスは、妻と長女以外の故郷に残った家族をナチス・ドイツに銃殺された。『存在の彼方へ』の献辞には次のようにある。
国家社会主義によって虐殺された六百万人の者たち/そればかりか、信仰や国籍の如何にかかわらず、他人に対する同じ憎悪、同じ反ユダヤ主義の犠牲になった数限りない人々/これらの犠牲者のうちでも、もっとも近しい者たちの思い出に
レヴィナスがショアー(ホロコースト)を引き受けた哲学者であることは疑いないが、彼自身は残虐な殺人を目の当たりにすることはなく、捕虜収容所で不気味な噂を聞きつつも、親族が死んだことは後で知った。
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