株式投資で5年後に勝つ人が見逃さない2つの視点 ブームに乗っかる企業が生き残れる力の源は何か

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伊藤園の缶入りのお茶は、お湯を沸かし、急須に茶葉を入れ、お湯を注ぎ、茶葉を蒸らし、湯吞みにお茶を入れるという時間がかかる一連の工程を「お金を払うことで」代替してくれていたのです。

お茶は日本人にとっては日常的に飲むものでしたから、その時間を節約できるのは生活において大きな変化となりました。このように自分でできることだとしても、他者に代替してもらうメリットがあるものであれば、人はお金を使うのです。

②ブランドがあるか

ブームの2つ目の視点は、そのブームにはブランドがあるかどうかです。

こちらは、近年の「唐揚げ店ブーム」を例に考えてみましょう。

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2020年ごろからテイクアウトを中心とした唐揚げ店がブームとなりました。その後ブームは落ち着き、2023年には前年の9倍となる27件の唐揚げ店経営業者の倒産が発生しています。

私は、唐揚げ店のブームがなぜ終わってしまったのかを考えたときに、「ブランドがないこと」が一つの原因であることに思い至りました。

ここで、対照的な例として挙げたいのがトリドールホールディングスの「丸亀製麺」です。丸亀製麺は讃岐うどんのお店ではありますが、香川県発祥ではありません。粟田貴也社長が香川県丸亀市の製麺所でできたてのうどんを食べたことが、丸亀製麺を展開するきっかけになったといいます。1号店は2000年に兵庫県加古川市に出しているのです。

しかし、丸亀製麺はこの「讃岐うどんブランド」「丸亀ブランド」を非常に効果的に使っており、2018年には国内外合計1000店舗を達成しています。

もちろん、店内で製麺から茹で上げまで行っていたり、アルバイトでも高クオリティのうどんを提供できるようにオペレーションが工夫されていたりするなど、ブランド以外にもさまざまな要因が重なっていますが、消費者の心を摑むためにブランドがあるのとないのとでは、大きな差が生まれてしまうのです。

渡部 清二 複眼経済塾 塾長
わたなべ・せいじ / Seiji Watanabe

「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。2014年の独立後も25年以上継続中で、2022年10月1日には四季報100冊読破。2014年四季リサーチ株式会社設立、2016年複眼経済塾設立。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定AFP、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト

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