ゲームとAIの長い歴史に加わる「感情認識AI」 介護やマーケティングへの応用も視野に
OVOMINDは、プレイヤーの感情をリアルタイムで検出し、それをゲームプレイに直接かつ動的に反映させるクラウドベースAI技術だ。特徴は、プレイヤーの感情状態に応じてゲーム内の要素をリアルタイムで調整することにある。OVOMINDが活用例として制作したホラーゲーム「Dead Shadows」では、プレイヤーの恐怖度合いに応じて視界を狭めるなどの演出を行い、より没入感のある体験を実現している。
技術的な観点では、特殊なスマートバンドを用いてプレイヤーの生体信号を検出している。このバンドは、従来のスマートウォッチには搭載されていない皮膚電気反応(GSR)センサーを含む複数のセンサーを備えており、プレイヤーの感情状態を高精度で分析できる。
検出されたデータはクラウドサーバーに送信され、OVOMINDの独自AIによって処理・分析され、結果がリアルタイムでゲームに反映される。
実際に体験してみた
筆者も「Dead Shadows Beta」を体験した。ゲームを起動すると、廃墟のような薄暗い室内が画面に広がる。ノートPCの隣にはスマートフォンが置かれ、プレイヤーの感情状態をリアルタイムで表示していた。
ゲームが始まると、スマートフォンの画面上では「NEUTRAL」(中立)の状態が表示され、心拍数は74 BPMを示している。この数値は、ゲームの展開に応じて刻々と変化していく。
突如、不気味な音が鳴り、画面が揺れる。この瞬間、タブレットの表示が「ALARMED」(警戒)に変わり、心拍数が上昇する。ゲームの進行に合わせ、プレイヤーの感情状態が「EXCITED」(興奮)や「JOY」(喜び)、時には「ANNOYED」(イライラ)と変化していくのがわかる。
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