「消えたコメ」が戻ってきたら「コメが高い!」 9月の消費者物価指数で東京23区では前年比4割高

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いびつな政策のツケは消費者に回っている。高値のコメと補助金の税負担という両方を負っているのだ。低所得者世帯ほど生活必需品が高値であることの負担は大きい。

では、どのような手が打てるのか。

農政調査委員会の吉田俊幸理事長は次のように提起する。「価格維持を目的とする生産調整を見直し、生産者への所得補償とコメの増産・輸出へ転換する時に来ている。価格が下落すれば、輸出をはじめ需要拡大につながる。生産者の所得減に対しては所得補償でカバーできる」。

生産者の経営を支えつつ、消費者にはコメの価格が下がるというメリットが生まれるというわけだ。

政策転換を表明していた石破首相

くしくも2008年、農林水産大臣として価格維持のコメ政策からの転換を表明していたのが、石破茂首相だ。

想定されるコメ価格の下落幅とその補填策について省内でシミュレーションを進めていた。しかし政策議論に入る前に、解散総選挙で政権交代が決まり、石破氏が大臣を退任する直前にシミュレーション結果を公表するにとどまった。

石破氏は今回の自民党総裁選で、コメの生産拡大と直接所得補償に言及した。首相に就任した後はほかの政策と同様、発言を軌道修正しているが、因縁の政策であるだけに今後の動向が注目される。

今回のコメ騒動は生産者と消費者、双方にプラスとなるよう農政が転換するきっかけとなるか。それとも、需要減と生産現場の弱体化に拍車がかかるだけに終わるのか。日本のコメは岐路にある。

黒崎 亜弓 東洋経済 記者

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くろさき あゆみ / Ayumi Kurosaki

特に関心のあるテーマは分配と再分配、貨幣、経済史。趣味は鉄道の旅、本屋や図書館にゆくこと。1978年生まれ。共同通信記者(福岡・佐賀・徳島)、『週刊エコノミスト』編集者、フリーランスを経て2023年に現職。静岡のお茶屋の娘なのに最近はコーヒーばかり。

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