サイバー攻撃の被害「警察に言いにくい」ダメな訳 企業も躊躇せず通報が潜在的な被害をなくす

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「警察では平成初期からサイバー空間の脅威に問題意識を持ち、継続的に組織や人材の育成を行ってきましたが、その中で問題になってきたのがリソースの分散です。

例えば、サイバー犯罪を全般的に担当する情報技術犯罪対策課は生活安全局、国家が背景にあると思われるサイバー攻撃を担当するサイバー攻撃対策室は警備局、技術系職員の育成や分析・解析を担当するのはまた別の部門という形になっていましたが、人的、物的リソースは一元的に集約することではじめて対処能力が向上します。

高度化、複雑化するサイバー空間の脅威に対し、各部門がバラバラに対応するのではなく、捜査の指導や情報の集約、技術的な解析、民間企業との連携を一元化するという観点から、サイバー警察局を設置しました」

一方、重大サイバー事案への対処を担う国の捜査機関として関東管区警察局に設置されたサイバー特別捜査隊は、また別の理由で立ち上げられた。阿久津氏が続ける。

阿久津正好 サイバー警察局 サイバー企画課長
阿久津正好(あくつ・まさよし)サイバー警察局 サイバー企画課長/1996年警察庁入庁。在ドイツ日本大使館一等書記官、警察庁刑事企画課刑事指導室長、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部事務局参事官、警察庁長官官房参事官(国際・サイバーセキュリティ対策調整担当)、警察庁情報技術犯罪対策課長、警察庁サイバー捜査課長、山口県警察本部長等を経て2024年7月から現職(写真:警察庁提供)

「これまでの歴史的経緯から、警察は各都道府県に捜査部門があり、警察庁は政策立案や全国の捜査の調整等を行うという立て付けになっています。しかしサイバー犯罪は、県境はもちろん国境も容易に超えるので、サイバー関係の捜査は各国の捜査機関と連携し、各国が持っている捜査情報を持ち寄って犯人をあぶり出して捜査していかないと検挙につながりません。

残念ながら従来は、こうした国際共同捜査を継続的に行っていくための体制が整っていませんでした。そこで各都道府県レベルの情報を横断的、俯瞰的に分析し、その結果に基づいて各国の捜査機関と共同捜査に取り組んで被疑者を捕まえる取り組みを行うために、サイバー特別捜査隊を設置しました」

現在は、サイバー特別捜査部と各都道府県警察のサイバー専従捜査員を合わせて約2600人の体制となっている。これとは別に技術系の人材が約800人ほどおり、その中からもサイバー特別隊に出向し捜査を担っている者や、民間から出向してきている人材も加わっている。

国際共同捜査や都道府県を横断した捜査で成果

サイバー警察局とサイバー特別捜査部の設置により、課題であった外国の捜査機関との国際共同捜査や都道府県を横断した捜査で成果がみられるようになっている。

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