2位はゴールドウインの2.90件。連結従業員数1515人に対して、通報件数44件だった。全従業員が年1回、内部通報の研修を受講する。贈収賄を含む不正取引の禁止を掲げ、全従業員に誓約書を提出させるなどコンプライアンス意識は高い。
3位はオリンパスの2.46件。通報件数は809件(連結従業員数3万2844人)だった。多言語対応可能なグローバル通報窓口を24時間設置。社員へのイントラネットやeラーニングによる制度周知も積極的に行う。かつて内部通報で大きな問題を起こした同社だが、その反省を生かし内部通報制度の拡充に取り組んでいる。
4位はアズビルで2.41件。通報件数は243件(同1万63人)で国内・海外窓口を設置し、国内は個人的な相談も受け付けている。毎年、全社員対象の教育を実施。相談件数や相談内容の分析結果や対処事例をフィードバックし、制度の認知度や通報窓口の信頼性向上を図っている。
5位は上場企業のディスクロージャー・IR支援大手のプロネクサスで2.18件。通報36件で従業員数は1651人だ。全社員へのコンプライアンス研修を年2回実施。新入社員向けや長期派遣社員向けにも行っている。内部通報件数のフィードバック実施などの取り組みを行う。
紅麹での健康被害が発生した小林製薬は何位?
以下、6位カルビー(2.13件)、7位日産自動車(1.58件)と続く。
8位は紅麹での健康被害が発生した小林製薬で1.57件。通報件数55件で従業員数3495人。今回の問題ではリスク管理委員会などリスクマネジメント体制は整備されていたが、迅速な対応ができなかったと批判を受けている。社外取締役は過半数を占め、「伊藤レポート」の伊藤邦雄・一橋大学名誉教授など大物が揃う。多くのESG評価でもガバナンス評価は低くない。そうした会社でも問題が起こりうる。
目安とした連結従業員数100人当たり1件以上は22位のIHI(1.0件)まで。75位の横浜ゴムほか4社でも0.5件と連結ベース従業員数100人当たり1件はかなりハードルが高いようだ。
今回は通報件数に対比する人数を連結従業員数としたが、業種によってパートやアルバイトなど臨時従業員数を加えたほうが望ましいケースもある。さらに顧客や取引先なども通報が可能な場合は想定人数を加えるといった調整が必要になりそうだ。全社共通の計算は難しいが、まず連結従業員数で計算し、さらに個別で見ていくというやり方が現実的だろう。
内部通報に成功の方程式はないが、上位企業の事例を見ると企業の不正事例だけでなく、ハラスメントなども合わせて幅広い相談・通報を受け付けている。こうした間口の広い窓口対応が内部通報制度の成功につながることは、今回の兵庫県のドタバタを見ていると改めて正しいと感じられる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら