中国の金融緩和は、なぜ不発に終わったのか そして忍び寄る深刻な「債務デフレ」
結果、中国の株式市場は当局が極端な手段で介入する市場であることが、世界中に知られるようになった。ところが今回、テコ入れがまるで効かないことは、「よほど経済のファンダメンタルズが悪いのではないか」という疑念を抱かせる。
実際、景気の低迷は明らかだ。8月21日に発表された、中国製造業PMI(購買担当者景気指数)の8月速報値は47.1と、7月の47.8を下回り6年半ぶりの低水準となった。同指数は50を切ると景気後退を示唆するといわれており、8月まで6カ月連続で50を割り込んでいる。
デフレ圧力も高まっている。7月の卸売物価指数は前年同月比5.4%と大きく落ち込み、41カ月連続のマイナス。ここに企業活動の停滞ぶりがはっきり表れている。
企業の債務は2000兆円
中国は8月11日に人民元の基準値設定のあり方を見直し、対ドルレートは元安の方向に振れた。介入で元安を止めるという従来の政策を転換した背景には、元買いが金融引き締め効果をもたらし、デフレ阻止のための金融緩和と矛盾するという、構造問題がある。その交通整理を行うことで、さらなる緩和の地ならしができていた。
預金準備率の引き下げと利下げを同時に発表した8月25日、人民銀行の発表文には、「企業の資金調達コストを下げるため」と記された。
中国の非金融企業(地方政府の資金調達機関である、地方融資プラットフォームを含む)の債務残高は、2014年末時点で99.7兆元(約2000兆円)だ。GDP(国内総生産)に対する比率は、156.7%にも達する。これは日本のバブル期(1989年に132.2%)をも上回る水準である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら