政府は本格的除染開始を、一段の遅れは許されない
帰還への希望を抱きつつ、新たな精神的拠り所を模索し始めた人々もいる。たとえば飯舘村が福島市内の松川工業団地に建設した「第一応急仮設住宅」の住民たちがそうだ。
彼らは、全国から送られてきた古着をハンドメードのはんてんなどに作り変える仕事を始めた。その販路候補として、手を挙げる東京の企業も現れそうなムードとなっている。
100戸を超える同住宅の管理人であり、この“ニュービジネス”の提唱者でもある佐野ハツノさんはこう語る。
「つらくて、みんなおかしくなりそうだったけど、はんてん作りを始めてから、健康を取り戻して笑顔も戻ってきた。別の仮設住宅の人たちにも声をかけ広げていきたい。そして元気を維持して、いずれ村に戻りたい」
国会は優先的に可決を
敬意に値する自助努力である。しかし、村への帰還には高いハードルがあることを認めないわけにはいかない。最大のハードルは、放射線を浴びた物質の除去、いわゆる「除染」である。
除染について政府は、「極力、早期に放射性物質の除染を行う」とし「早ければ来年1月には始動させる」と語ってきた。そのための予算を盛り込んだ第3次補正予算と来年度予算は、現国会で審議し、成立させるという。ぜひともいち早く本格的な除染作業に着手すべきである。まさにその実施を促していたのが、あの大熊町長選挙結果であることを政府は肝に銘じなければならない。