鉄道とクレカ業者「タッチ決済」駆け引きの裏側 東急「運賃50%オフ」作戦、JRはどう出る?

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その後は2021年4月に南海電鉄、2022年5月から福岡市地下鉄など大手私鉄や公営地下鉄も追随した。

このときは海外からの旅行者は交通系ICカードを持っていないことが多く、インバウンド向けサービスの一環という側面があった。空港駅からタッチ決済で主要駅に向かい、その後はあらためてインバウンド向けの企画乗車券を購入するといった活用が想定されていたようだ。

福岡市地下鉄 七隈線
福岡市地下鉄は全3路線36駅でタッチ決済が使える(編集部撮影)

その後も普及は進んだ。タッチ決済の交通系プラットフォーム「stera transit(ステラトランジット)」を提供する三井住友カードによれば、同システムを導入した鉄道・バス事業者数は2023年度に120に達した。2024年度には180、2025年度には230まで伸びるといい、大手民鉄16社、公営地下鉄8社の駅の7割がタッチ決済に対応する予定だとしている。こうなってくると、もはやインバウンド向けの施策とはというよりも、一般の利用者全般を対象とした施策といってよいだろう

東急が導入した狙いは?

東急電鉄は2024年5月からタッチ決済を世田谷線を除く全線で導入している。Visa、JCB、American Expressなどの主要カードが利用可能。Master Cardは現状では対象外だが順次追加を予定しているという。

「決して交通系ICカードに対抗するわけではなく、あくまで決済手段を増やし、顧客利便性を高めたいというのが狙いだ」と、広報・マーケティング部CX・マーケティング課の関根司主事が説明する。改札口に設置された読み取り機の数はまだ少ないが、カードをかざすと出入りができる点では交通系ICカードとまったく変わりない。残高不足になったらチャージする必要がある交通系ICカードよりも便利という考え方もできるだろう。

さらに、東急電鉄は7月29日から8月11日までの期間、Visaカードでタッチ決済を利用すると初乗り運賃に相当する140円をキャッシュバックするキャンペーンを実施した。

キャンペーン期間中の実績について、同社の伊藤篤志専務執行役員は「件数で2倍、利用者数で3倍増えた」と説明する。「初めて利用する人が増えた」としており、タッチ決済の認知度拡大で効果があったようだ。

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