鉄道とクレカ業者「タッチ決済」駆け引きの裏側 東急「運賃50%オフ」作戦、JRはどう出る?
8月20日から9月19日まではJCBカードを使ってタッチ決済で運賃を支払うと通常運賃から50%オフとなるキャンペーンを実施している。上限は500円だ。
東京メトロの路線や相鉄線など相互直通先には対応していないため、改札の出入りが東急線内で完結する必要があるが、東急線限定という特性を逆手に取り、関根主事は「沿線域内での鉄道利用を促したい」と意気込む。
たとえば、近くの駅で下車して食事や買い物を楽しめば、鉄道利用も増えるし沿線の活性化にもつながる。沿線の店舗で使ったクレジットカードで、駅でもタッチ決済すれば運賃を割り引くといった施策も考えられるだろう。
その意味では他社線と接続しない世田谷線はタッチ決済に適しているといえる。世田谷線でも2024年内に開始したいという。
JR東日本はどう考えている?
ところで、東急線と接続する他社線の状況はどうか。有楽町線、副都心線、田園都市線などが東急線と相互直通する東京メトロは2023年8月、タッチ決済の実証実験を2024年度中に始めると発表した。
最新の状況について同社に確認したところ、「現在は準備中。時期は決まっていないが2024年度中に開始する」とのことだった。計画では事前購入した企画乗車券を使ったサービスにとどまるが、実証実験の実績を踏まえ、将来の後払いサービスの実施について検討するという。東急も最初は事前購入した企画乗車券を使ったサービスからスタートしているので、東京メトロもこの流れに沿ったものといえる。
首都圏の鉄道網をがっちりと握っているJR東日本がタッチ決済を導入すれば、普及が加速化することは間違いないが、目下のJR東日本はJREバンクの運営開始など「Suica経済圏」の拡大に注力している。
タッチ決済の導入について、喜㔟陽一社長は「具体的には考えていない」としており、「Suicaの利便性、競争力を高めていくことが基本的な戦略」という。とはいえ、タッチ決済をまるで無視しているわけでもなく、将来の普及状況を見ながら柔軟に考えていきたいようだ。JR西日本も同様で、関西でも大手私鉄各社がタッチ決済を導入する動きが増えているが、「タッチ決済の導入は予定していない」とのことだった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら