平井一夫「仕事は自己を滅してするもの」は間違い 自分の人生はまず自分の中での優先順位を大切に

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かく言う私も、いまだに、よく優先順位を自問自答します。1つ身近な例を挙げると、最近はYouTubeやNetflixにハマってしまって、次から次へと見ているうちに、気づいたら日付が変わっていた、なんてこともしょっちゅうです。

そこではたと思うわけです。「あれ、これって僕にとって、そんなに大事なことだっけ? そこで考えてみると、今、一番、優先順位が高いのは、明朝早くからの仕事。ということは、すぐに寝なきゃ」と。

大事なことに支障が出るのは避ける

もし、「今は、この最高におもしろいドラマを一気観することが一番大事だから、夜更かししても観るんだ」ということなら、それでいいのですが、優先順位を見誤ったあまりに、本当はもっと大事な「明朝の仕事」に支障が出るのは避けなくてはいけません。

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このように、日常的なことから人生を長く見据えたことまで、常に「優先順位は何か」を自問自答すること。また、「逆から問うてみる」のも1つの方法です。ある事柄の優先順位がわからなくなったら「それが失われた状態や叶わない状態」を想像してみる。そこで「すごく困る、苦しい、悲しい」と感じたのなら優先順位が高いということですし、「別に気にならないかも」と思ったのなら、実はそれほど自分にとって大事ではないということです。

会社経営では、常に「会社にとって何が一番大事か」を考え、時代背景や自社の経営状況などに応じて優先順位をアジャストしながら、歩むべき道を見定めることが必要不可欠です。

個人の人生もまったく同様です。「人生」という営みを「会社」という営みに見立てれば、そのCEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)……すべての責任ある権限を持っているのはあなた自身です。

こればかりは、他の誰にも務まりません。「自分にとって何が一番大事か」を考え、状況に応じて優先順位をアジャストしながら歩むべき道を見定めていく。これができるのは、人生という営みの全権限を握っているあなただけなのです。

平井 一夫 ソニー元CEO、 一般社団法人プロジェクト希望代表理事

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ひらい かずお / Kazuo Hirai

1960年東京生まれ。父の転勤でNY、カナダで海外生活を送る。84年ICU卒業後、CBS・ソニー入社。ソニーミュージックNYオフィス、SCE米国法人社長などを経て、07年SCEI社長兼CEO、ソニー グループ・エグゼクティブ。09年ソニー EVP、11年副社長、12年社長兼CEO、18年会長。19年より24年までソニーグループ シニアアドバイザーを務める。著書に『ソニー再生』(日本経済新聞出版)がある。

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