タブレットに"子守"を任せると何がマズいのか 今の時代の子育てにおいて、親に必要となる知識とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

研究の主執筆者であるキャロライン・フィッツパトリック博士は、この結果について、特にネガティブな感情を示しやすい幼児に対しては落ち着かせるための「デジタルおしゃぶり」としてタブレットを安易に与えすぎると、その場はしのげても子の将来に逆効果になってしまう可能性があると述べている。保護者はもっと子どもの遊び相手をしたり、本の読み聞かせや、一緒に身体を動かすといった時間を増やすべきだと指摘している。

タブレットを無制限に使わせていると思わぬ弊害が…(写真:pearlinheart/PIXTA)

フィッツパトリック博士によると、米国内のある調査では4歳児のほとんどが「自分用」としてスマートデバイスを与えられおり、それに費やす平均時間は、2020年時点で1日わずか5分だったところが、2022年には1日55分までに増加したとのことだ。今回の研究では幼児の1日あたりタブレット使用時間が3歳半で平均55分、4歳半で平均57分、5歳半で平均60分だった。

学習アプリもあるものの…

人にとって、就学前の3~5歳の幼児期は、その場その場における感情の表れを上手にコントロールする能力(情動調整能力)の発達において敏感な時期だと言われる。自分以外の存在とのコミュニケーション機会が増え、社会的な関わり方を学び始める時期ともいえるだろう。

そのため、この時期にタッチパネルを眺めている時間が長すぎると、親やほかの子どもたちとの遊びなどを通じて、その時々の状況を理解し、判断し、行動することを学ぶ機会を逸してしまう可能性がある。人との関わり合いの中で怒りやフラストレーションを効果的に制御する能力を身につけることは、後年の日常生活においても重要なことだろう。

もちろん、スマートフォンやタブレットで使える素晴らしい知育アプリもたくさんあり、いろいろなことが学べる機会ももたらしてくれる。だが、子どものメンタルヘルス改善を支援する非営利団体チャイルドマインド・インスティテュートの心理学者キャスリン・キーオ博士によれば、親や兄弟と一緒に遊んだり、公園や庭などのリアルな環境で身体を動かし、自然や生き物に触れたりするほうが、アプリに頼るより幼児にはいい影響を与えるとのことだ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事