iPhone4Sがとどめ、国内携帯端末メーカーの最終章
「iPhone4S発売から2週間、他社のスマートフォン(スマホ)はいっさい発注してない。特に国内メーカーの端末は惨憺(さんたん)たる状態ですよ」(販売代理店幹部)
米アップルのiPhone新製品発売から約1カ月。ソフトバンクのみから販売されてきた同端末が、ついに全国のKDDIの販売店にも供給され始めた。その余波で、日本の端末メーカーはいよいよ窮地に立たされている。
国内メーカーの一角、NECカシオモバイルコミュニケーションズは、2011年度の携帯電話の出荷を740万台から650万台に下方修正した。採算ラインは600万台で、赤字転落ギリギリのラインだ。「iPhoneの影響は否定できない。年間4000万台弱の限られた国内の需要を、iPhoneと取り合っている状況だ」と、NECの遠藤信博社長は苦戦の要因を語る。
iPhoneゼロ円で国内メーカーは劣勢に
一時は年間5000万台まで拡大した国内の携帯電話市場。だが08年に総務省の指導で過度の販売奨励金が是正され、店頭価格が上がったことで台数は3500万規模に縮小。赤字に転落する企業が続出する中、撤退や合従連衡を繰り返しつつ、何とか延命を図ってきた。
国内市場の直近のシェアは1位シャープ(24・7%)、2位富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(19・1%)と国内勢が続き、アップル(12・1%)は3位にとどまる(11年4~6月、IDC調べ)。しかし、iPhoneがKDDIにも解禁されたことで、「アップルが国内メーカーのシェアを奪い、首位に立つことは確実」(IDCの木村融人シニアマーケットアナリスト)だ。
同端末がスマホの中でも圧倒的な人気を誇るのは、端末や豊富な専用アプリの魅力だけによるものではない。料金も特別に安く設定されているからだ。