大王製紙にはびこる創業家一族の絶対支配、望めぬ大胆な経営改革

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大王製紙にはびこる創業家一族の絶対支配、望めぬ大胆な経営改革

私物化も甚だしい。大王製紙が10月28日に発表した井川意高前会長による巨額借り入れに関する調査報告書では、子会社7社から総額106億8000万円が意高氏に流れていた実態が明らかになった。

報告書によると、意高氏は2010年5月から11年9月まで26回にわたり本人預金口座などに振り込ませたが、うち2回、計8億5000万円は海外カジノの日本法人の口座だった。一部の子会社では流動資金が不足し、新たな借り入れを余儀なくされていたという。

井川家の見えざる影響力も明らかなった。今回、大王製紙から委託された特別調査委員会は全国35の連結子会社に対して、井川一族やファミリー企業との資本関係を調べる目的で資料の提出を求めたが、応じたのはわずか17社。大王製紙の筆頭株主・大王商工(社長は意高氏の実父・井川高雄氏)関係者への事情聴取も直前になって拒否されたとしている。

井川前会長の実弟の高博氏にも手こずった。同氏の当時の役職は関連事業部担当役員。本来なら子会社に調査協力を要請すべきところを、逆に子会社の株主(井川家や井川家のファミリー企業)に忠誠を求めたとするなど、報告書にはいらだちがにじむ。

調査委の奥平哲彦委員長は「井川家に絶対的に服従し、異を唱えられない企業風土になっていた」と指摘。「井川父子(高雄氏と意高氏)の支配力を薄めなければ再生はない」と断じた。

一方、大王製紙は報告書公表の前日、高雄氏を顧問から解任した。辞任要求を拒否している高博氏は、株主総会で解任を図る構え。報告書では明らかにならなかった資金使途の解明に向けては、意高前会長を特別背任容疑で刑事告訴する方針だ。

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