JFEホールディングスは13年4月メドにグループのJFE商事を完全子会社化へ。グループの電炉事業統合の概要も発表
国内高炉2位のJFEスチールを傘下に持つJFEホールディングスは10月26日、株式交換でグループのJFE商事を100%子会社化することを決めた。2012年8月頃に株式交換比率を決定、13年4月メドに完全子会社化する構えだ。
完全子会社化するのはグループのJFE商事で、JFEスチールが38.6%出資するJFE商事ホールディングス<3332>の100%子会社。新日本製鐵の取引扱い量がグループの日鐵商事より三井物産などの総合商社が多いのに対し、JFEスチールの扱い量ではJFE商事が最大。食品などの事業もあるが、鉄鋼部門の比重が大きかった。今回、JFEホールディングスの子会社化となることで、グループの造船やエンジニアリングの仕事も増えてきそうだ。
JFE商事は親会社のJFE商事ホールディングを12年4月に吸収合併、改めてJFE商事として上場する予定。このスケジュールは変えずに、13年4月、JFEホールディングスの100%完全子会社化となる。
完全子会社化の狙いは、円高の進行で迫られるJFEグループの海外シフトの一段の推進だ。それには、JFE商事が持つ海外ネットワークの活用が不可欠となる。
JFE商事の完全子会社化後は、JFEホールディングスの下に、JFEスチール、JFEエンジニアリング、ユニバーサル造船、川崎マイクロエレクトロニクスとともにぶら下がることで、グループの一体運営が可能となる。
これまでは、JFE商事ホールディングスが上場会社だったことで、重要案件については株主総会の承認を得る必要があるなど、意志決定の迅速さに問題があったようだ。
JFEホールディングスは同じ26日、検討中だったグループの電炉事業の統合についても概要を発表した。存続会社をJFE条鋼とし、ダイワスチール、東北スチール、豊平製鋼を吸収する格好で、4社合併を図る方針を決めた。合併期日は12年4月。合併会社はJFEスチールの100%子会社となる。
電炉事業の販売先は国内の建設会社が中心。今後の建設業界の成長が見込まれない中、追加の投資は判断しづらい状況だった。今後は特殊鋼で自動車向けなどに強みを持つJFE条鋼を軸に、事業の再構築を図る見通しだ。
国内市場向けが中心の電炉事業を再編・統合する一方、海外シフトをいっそう推進するためにJFE商事を子会社化。JFEグループとしては、アジア、中東などの新興国を中心とした成長市場へのシフトを鮮明化させた格好だ。
(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)
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