東京、パリと「炎上五輪」が続いた"根深い問題" 選手や運営への批判や誹謗中傷が止まらない背景
ロンドン五輪の「ソーシャリンピック」の時代から12年を経て、どうして炎上が加速してしまったのだろう?
たしかに、パリ大会や東京大会は、ロンドン大会と比べて運営面で不備、不手際が多かったのは事実だ。
一方で、リオ五輪においても、スタジアムや選手村建設の遅れ、治安問題、経済効果に対する疑問など、課題は山積しており、開催が危ぶまれる状態だった。ブラジル国内の問題はさておき、日本をはじめ、海外からそこまで激しい誹謗中傷を受けるようなことはなかった。
なぜ“炎上”が激化したのか?
五輪に関する炎上が加速している背景として、以下のことが挙げられる。
1つ目については、ロンドン五輪をきっかけに、五輪関連の組織、スポンサー企業、選手がSNSアカウントを開設し、情報発信が活発に行われるようになった点だ。
特に、最近は選手自身がSNSアカウントを開設して情報発信をするケースが目立っているし、フォロワー数も急増してきている。選手とファンのつながりを強めたり、選手の生の声が聞けたり、競技以外の人となりを知ることができたりするという点でメリットも大きい。その一方で、選手が個人攻撃にさらされるリスクも急増している。
もはや五輪の選手は、「自分たちとは次元が異なる、仰ぎ見る存在」ではなくなっている。親しみを持って接することもできれば、誹謗中傷することもできる存在だ。
これまで、誹謗中傷を行う人は「言論の自由だ」「嫌なら見なければいい」という物言いをしていたが、個人アカウントにダイレクトメッセージを送ったり、相手の投稿をメンションしたりと、もはやその言い訳も成り立たない状況だ。
2つ目で象徴的なのが、2016年の英国のEU離脱(ブレグジット)とアメリカ合衆国大統領選挙だ。米英という大国で分断が高まる中、SNSでもヘイトスピーチが急増し、問題となった。
トランプ元大統領(当時は候補者)自身が、Twitter(現X)で過激な投稿を行っており、SNS投稿の過激化に拍車をかけた側面もある。
企業関連の炎上も2017年あたりに急増が見られる。政治的な投稿に限らず、日々の不満や鬱憤をSNSに投稿して憂さ晴らしをする行動が、この時期から加速しているようだ。
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