欧米企業に広がる「中国事業見直し」の動き 投資削減や生産ライン縮小も
OC&Cストラテジー・コンサルタンツのパートナー、ウィル・ヘイラー氏は、中国の事業環境の悪化を受け、企業の関心は市場シェアの拡大から中国事業の黒字確保、少なくとも赤字を減らすことにシフトしていると指摘する。
企業が取る戦略は、コスト削減や製品の値下げなど多岐にわたる。
米ゼネラルモーターズ(GM)<GM.N>は中国では効率的なコスト管理を目指すと表明。独自動車大手BMW<BMWG.DE>やイタリアのサングラス・眼鏡大手ルクソティカ<LUX.MI>は値下げで中国人消費者の取り込みを図っている。
生産ラインの見直しも選択肢の一つ。仏食品大手ダノン<DANO.PA>は、中国の粉ミルク事業Dumexを現地企業の雅士利国際<1230.HK>に売却し、より高い利益が見込める世界的ブランドの売り込みに注力する方針を示している。
信用リスク見直しも
中国の事業環境の悪化は、企業に信用リスクの見直しも迫っている。スウェーデンの大手トラックメーカー、ボルボ<VOLVb.ST>は昨年、中国事業で貸倒損失が見込まれるため、6億5000万クローナ(7500万ドル)の引当金を計上すると発表。同社のヤン・ギュランダーCEO代行は今年7月半ば、同社が未返済融資についてディーラーと厳しい交渉を行ったと明らかにしたが、状況が落ち着いたかどうかは分からない。
信用リスクの増大を受け、一部の欧米銀行も中国に対するエクスポージャーを見直している。スイスの金融大手UBS<UBSG.VX>は中国国内の顧客に対する融資を中止したと発表した。
欧米企業がこれまでよりも中国事業の運営に慎重になったとはいえ、同国での成長機会を狙う姿勢に変わりはない。実際、最近の株価急落に乗じて現地企業を安価で買収できないか模索する動きもある。ただ、多くの中国企業が融資などで政府の支援を受けるなか、購入対象となる企業は少ないと企業幹部らは指摘する。
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