ロッテの「お家騒動」がこんなにコジレるワケ 日韓を股に掛けた兄弟間闘争は第2幕へ
2014年の日韓連結財務諸表によると、売上高は6兆5000億円、営業利益は2300億円、総資産は8兆9000億円に上るが、売上高の90%以上は韓国ロッテが占めている。一方、日本ロッテは韓国ロッテグループにおける持株会社的な存在であるホテルロッテの株式19%を持つ筆頭株主だ。
発端は宏之氏の株買い増しか
年初からのロッテのお家騒動について、韓国財界では当初、宏之氏が武雄氏の信頼を失ったことに起因しているとの見方が根強い。その背景にあるとみられるのが、宏之氏の背信とも取れる行為だ。
宏之氏は2013年8月に韓国ロッテ製菓の株式643株を買い、それまでの持ち分3.48%から3.52%に高めた。韓国ロッテグループの株式を宏之氏が購入するのは、10年ぶりのことだった。さらに、昨年にも同社株を購入して持ち分を3.96%にまで高め、弟との持ち分5.34%との差を縮めていた。
韓国ロッテ製菓の株を買い集めるのは、韓国ロッテ内で同社の地位が非常に重要なためだ。ロッテ製菓→ロッテショッピング→ロッテアルミニウム→ロッテ製菓と続く、一族による企業支配を高める「循環出資」体制において、ロッテ製菓は核心企業になる。
韓国投資証券のイ・ギョンジュ研究員は「ロッテ製菓はロッテショッピングより売上高や資産規模は小さいが、グループ支配の構図上、ロッテ製菓の持ち分が非常に重要になる」と指摘する。武雄氏の作った「日本=長男、韓国=二男」という後継体制があるにもかかわらず、宏之氏が韓国ロッテ傘下の主要企業の株式を買い集め、弟の経営権を奪おうとしたことで、武雄氏の反感を買った可能性は高い。
ほかにも、武雄氏と宏之氏の対立を指摘する声は多い。たとえば、ロッテの代名詞ともいうべきガム事業で、宏之氏はリニューアルを推進した。が、その過程と結果に対し、武雄氏が大きく失望したという。
また、日本ロッテHDの佃孝之社長と経営方針をめぐって対立していたという話もある。一方、韓国ロッテの昭夫氏は、武雄氏の念願だった第2ロッテワールド事業を完成させるなど、実績を残した。「父親の意を十分にくんでくれるのは二男、という印象が強く残ったのではないか」との指摘もある。
韓国の財界関係者は「武雄会長が2013年に股関節の手術を受けて健康が悪化したとき、宏之氏が韓国にあまり来ず、父の指示も何回か無視したという話があった。経営手腕に優れ、父親の指示をよく聞く昭夫氏が、おのずと後継者として考えられるようになったのではないか」と打ち明ける。
それにしても、なぜ韓国の財閥では、かくも後継者争いが頻発するのか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら