日銀は為替を金融政策の対象に入れるべきだ このままでは金融政策への信頼が失われる懸念

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また、株式の買い入れという異常な(不可解な)政策まで動員された。日本では物価がほとんど上昇しなかったから、人々は、金融緩和を拡大しない日銀は、ケチでやる気がなく無能力であるかのように思った。

デフレ脱却を合言葉にしたアベノミクスにおける異次元緩和は、とにかく物価を上げること、インフレを起こすことが目的となり、リフレ政策と呼ばれたが、日銀の制度上の建て付けからは、とにかくインフレの目標(メドであろうが目標であろうが)を達成することが、一義的な目的であるから、景気とは無関係に物価が動かなすぎるのであれば、動かすことが目的となり、それでも動かなければ、日本経済が一時的にどうなろうと、物価を優先させるということは、原理的に間違っているわけではなかった。

しかし、アベノミクスや異次元緩和に賛成していたほとんどの人々は、そういう物価原理主義とは無関係に、景気がよくなるに越したことはないし、金融緩和の弊害がインフレということなら、日本でインフレが起きるはずがないから、どんどん緩和すればいい、というだけの気持ちだった。

インフレ上昇、金融引き締め局面では「大きな分断」

この日米の状況が、インフレ率上昇後の金融政策を難しくしている。そして、永遠に人々に誤解されたまま、その誤解が放置され、金融政策は将来にわたって、永遠に中央銀行と市場(エコノミスト、政治家、メディア、一般の人々も含む)との意思疎通ができないままとなり、つねに誤解から、市場は混乱し、中央銀行は責められ、経済に大きな障害となっていく恐れがある。

なぜなら、緩和局面は誤解があっても、同床異夢であり、金融緩和はだれにとっても歓迎だったから、軋轢は表面化しなかったが、インフレ上昇、金融引き締め局面では、大きな分断が、中央銀行とそのほかの世界の間に生じてしまうからだ。

現在、アメリカ中央銀行が強烈な金融引き締め、高金利を継続しているのは、景気に配慮して行っているのではない。物価だけを考えてやっている。しかし、このまま物価が十分に下がらず、景気も悪化し始めると、なぜ早く利下げしないのだ、という圧力がかかり始める。

物価は高いままだが、インフレ率は低くはないが、上昇は止まっている。そして、景気はこれから悪化しそうだ。それなら、物価と景気のバランスをとって、利下げするべきだ、というのが外野の主張、要求となる。

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