「校内スマホ禁止」は絶対か?動き始めた生徒たち 生徒主導の「校則見直し」西武文理の場合ー前編

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「あるとき、校長室に1人の生徒が連れてこられました。くるくるとカーブした頭髪が校則違反なので、授業には参加させないで帰宅させるとのことでした。後日、校内でその生徒が私に駆け寄ってきました。その頭髪は地毛で、授業を受けるため頻繁にストレートパーマをかけなければならないと訴えました」

そう教えてくれたのは、2023年4月から校長に就任したブラジル出身のマルケス ペドロさんだ。

「見てください。私の髪の毛もくるくるしています。私たちは多様な人々が共存できる社会を目指しているはずです。それで一回、校則をゼロにしようと決めました。

いまは私服での通学が認められています。式典など正装が必要な日には制服を着てもらいます。髪型も自由です。運動などの支障にならなければピアスもかまいません。

ルールを否定したいんじゃありません。学校をカオスにしたいわけでもありません。ルールのつくり方を学ぶ学校にしたいと思ったのです」

まず取り組んだのは「スマホ校則改正プロジェクト」だ。それまで、校内でのスマホ使用は禁止だった。いまでは一定のルールの中で、校内でのスマホ利用が認められている。プロジェクトの中心メンバーだった池田大空さん(高3)と古田一成さん(高3)と相原知紗さん(高2)に話を聞いた。

生徒が教員一人一人にヒアリングを行う狙い

池田 いくら生徒たちがルールをつくるといったって、しょせん、最終的には大人の承認が必要なんです。学校は生徒たちの生活の場であるとともに、大人たちにとっては仕事の場です。生徒が好き放題して大人の仕事を間接的にでも増やしたら、大人は絶対イエスとは言わない。それは間違いない。

おおた 現実的ですね。

池田 2023年4月にペドロ校長先生からお話をいただいて、実働が5月から。手分けして、生徒や保護者に対してはアンケートを行いました。教員に対しては一人一人ヒアリングを行いました。ヒアリングというより、説得の意味合いもありました。

おおた 反対されるポイントがわかれば、それに対する打ち手を用意することができますからね。そこは丁寧に聴き取ったわけですね。

ペドロ 私がやりたかったのはそこです。問題解決のためにたくさん情報を集めて、どこが足りないか、それをどう補うかを考えるということです。スマホについてそれは何でした? 具体的にいちばんの反対の意見は何だった? 

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