ホンダ創業者の今でも語られる「小4の頃」の逸話 「創意工夫は苦しまぎれの知恵」という言葉の原点
「赤ばかりじゃおもしろくないからな」 青や黄色のエナメル塗料をぬって金魚ばちに放してやると、一気にカラフルになりました。
ところが、満足したのも一瞬のこと。塗料をぬられた金魚は死んでしまい、大目玉をくらいました。
大人たちからすると、悪ガキだろうね。字を書くのがきらいで試験はさっぱりだったけど、宗一郎は物をつくったり、「こうすればもっとよくなる」と思って工夫したりするのが好きだったんです。
無料で飛行機ショーを見るためにとった行動
小学校4年生のときは、家から20キロも離れた場所でアメリカの飛行機ショーが行なわれると知り、一人で見にいきました。「行っちゃダメ」と言われると思ったから、親にはないしょ。学校をさぼってお父さんの自転車を持ち出し、出かけます。ようやく着いた……と思ったら、ショーを見るための入場料が足りず、入れてもらえないのです。
ここですごすごと引き下がる宗一郎ではありません。なんとかして見ることはできないか? 見ると会場のすぐ外に松の木があります。宗一郎はこれによじ登り、木の上からの見物に成功しました! もちろん、下から見つからないように枝の位置なんかも工夫したんだって。
はじめて見た飛行機ショーのすごいこと! パイロットになった気分で大興奮で家に帰りました。お父さんにバレて大目玉をくらったかって? いいえ、じつはお父さんも興味津々で「どうだった?」と盛り上がったらしいよ。
のちに本田宗一郎は「創意工夫は苦しまぎれの知恵である」と言っているんだけど、困ったときに工夫のアイデアが出てくることってあるよね。思い通りにできないことも多いからこそ、工夫の楽しさを知ることができるのかもしれないね。
『本田宗一郎 夢を力に』本田宗一郎著 日経ビジネス人文庫
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