2000年代に入ると、ヨーロッパと日本のメーカーも、ミッドサイズ/フルサイズSUV市場に本格参入する。ピックアップトラックの乗用化と同時に、SUVはアメリカ市場の中心的な存在となっていった。
さらに2010年代になると、アメリカ市場でいうコンパクトSUVとして、トヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」の販売台数が、「カローラ」「カムリ」「シビック」「アコード」といった、長きわたりアメリカ市場の中核にあったC/Dセグメントのセダンを超えるようになる。
現在は、アメリカ市場系SUVのほか、東南アジアを製造および輸出拠点とするグローバルSUVとして、トヨタ「フォーチュナー」や三菱「パジェロスポーツ」などがあり、インドネシアのMPVとともに、地域特性に応じて売れている。
つまりWR-Vは、単なるコンパクトSUVではなく、日本を含めたグローバルでの需要の最大公約数を「ホンダらしく具現化した多目的車」だと言えるのだ。
今、日本市場で何が起こっているのか?
最後に、日本におけるカテゴリー別の市場変化について、ホンダの資料をもとに紹介する。
2023年の日本の乗用車市場は、全部で381万台。セグメント別に見ると、多い順に軽2BOX(33%)、SUV(24%)、2BOX(2%)、ミニバン(13%)、4ドアおよびステーションワゴン(5%)だった。
これを10年前の2014年と比べると、SUVの伸びが目立つ。当時、SUVは6%にすぎなかったのだ。
そのSUV市場の中でも伸びているのが、新車価格200万〜250万円の日本でいうスモールコンパクトSUVで、過去5年間で急成長している。
2023年、この価格帯のスモールコンパクトSUV市場は、国内SUV市場全31万台のうち、42%を占めた。次いで150万〜200万円(29%)、250万〜300万円(27%)となっている。
こうして、ミニバンとSUVの国内外での市場変化を俯瞰し、さらに直近の注目モデルを乗り比べながら開発者らとの話を聞くと、作り手であるメーカーの予想を超えて、日本のユーザーが求めるクルマ像の変化が、加速しているように思えてならないのだ。
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