東京メトロ東西線一部運休「代行バス」輸送の裏側 14バス事業者が集結、見慣れぬ京急バスも登場

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続いて、幹事役を務めたジェイアールバス関東に話を聞いた。

――東京メトロからどのような形で依頼があったのか?

以前よりメトロ企画乗車券でのお付き合いや、東京メトロ主催のイベントにも参加していた中で、列車代行バスの相談があった。

――声をかけた事業者、参加した事業者名や台数などは?

当社と13社局を含めて2日間で266台。お声がけさせていただいたバス会社は東京都交通局、関東バス、京成バス、東武バス、東急バス、京浜急行バス、西武バス、国際興業、京王電鉄バス、東京空港交通、群馬バス、帝産観光バス、西東京バスだ。

――多くの事業者をどのように集めることができたのか?

まずは東京都交通局に相談し、続いて、他路線での共同運行会社や以前よりお付き合いのあるバス会社を個別に訪問し、依頼した。

――車両の誘導や保安員の人数は? どういった人が関わったのか?

当社からは地上対応員として、1日30人で対応した。バスの誘導は1日62人の警備員で対応した。

――今回の輸送計画において苦労した点は?

2024年4月施行のバス乗務員改善基準告示改正の中で対応しなければならず手探りで、集約台数の調整が必要だった。中にはバスの台数確定が4月になったバス会社もあった。

日本の交通ネットワークはすばらしい

鉄道による工事や天候不順が見込まれる計画運休では代行輸送を計画しない事業者も存在するが、東京メトロは東西線運休の影響で利用者の生活リズムを乱してはいけないという気持ちから、バス事業者とタッグを組み、ここまで大規模な輸送計画を実施したのだと思われる。

今回とは大きく違う話になってしまうが、異業種の輸送機関同士が協力しあった事例として、今年の1月2日に発生した羽田空港事故による航空機のダイバート(着地変更)が思い出される。羽田空港に到着予定の航空機が、茨城、成田、伊丹、中部などに着地変更となり、東海道新幹線や京成電鉄、関東鉄道などをはじめとする鉄道やバスが、急遽臨時便を仕立てて、対応した。

緊急時にはすぐに助ける。今回の東京メトロ東西線・代行輸送の件もそうだが、日本の交通ネットワークは非常にすばらしいものがある。交通とは輸送のネットワークが何よりも大切で、その連鎖があってこその事例だと思う。

こういった事業者同士の横のつながりを大切にしていくことこそが、これからの日本の交通に必要な、「絆」なのではないかと感じてならない。

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渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

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わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

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