体操・宮田「五輪辞退は厳しすぎる」に言いたい事 スケボ選手の飲酒が許されて宮田はNGだったワケ
順天堂大学の声明は、表現には配慮しつつも、真意を表明したものであるとは思う。しかし、いまさら決定が覆される可能性が薄いこと、さらに議論を巻き起こしてしまいかねないことを考えると、謝罪と、宮田選手への指導と支援の意思表明をするにとどめておいたほうが適切だっただろう。
スケートボード選手の「未成年飲酒」はなぜ許された?
今回の件と比較で出されるのが、今年5月のパリ五輪の予選の上海大会で、20歳未満の日本人のスケートボード選手4名が中国国内で飲酒をした件だ。この時は、厳重注意などにとどまり、出場停止には至らなかった。実名も公表されていない。
選手は飲酒する意図がなく、スポンサーのスタッフから、中国では18歳以上は飲酒ができると勧められ、飲酒量も少量だったことから、軽い処分で済んだという。
実際、飲酒や喫煙の年齢制限は、国籍ではなく、滞在国、滞在地の法律や条例が適用される。
フランスでは18歳以上から飲酒、喫煙が認められるが、宮田選手が飲酒、喫煙を行ったとされるのは日本国内であり、法律違反となる。また、飲酒は強化合宿で滞在した北区の味の素ナショナルトレーニングセンター宿泊棟で行われたことであり、やはり団体の行動規範にも反している。
一方で、中国はお酒、たばこが購入可能な年齢は18歳以上だが、喫煙や飲酒の法律による年齢制限は設けられていないという。つまり、スケートボード選手は法律違反をしていないということになる。
ただし、ワールドスケートジャパン(WSJ)の代表選手規程には違反している。どのような処分が適切なのかは、難しい判断であると思う。
いずれにしても、スケートボード選手よりも、宮田選手のほうが重い処分が科されるのは、やはりやむを得ないところがある。
とはいえ、前述のような五輪の特別性、特殊性を鑑みると、宮田選手の代表辞退が厳しすぎたというよりは、スケートボード選手の処分が軽すぎたと見ることもできるだろう。両者を比較して、宮田選手の処分が厳しすぎるとするのは短絡的であると思う。
五輪の選手は、厳しい競争にさらされているのみでなく、国家を背負って大会に臨んでいる。ストレスとプレッシャーは絶大だろう。
代表選手の年齢は概して若く、未成年も多い。アスリートは、競技で勝利するだけでなく、コンプライアンスを遵守し、国民の模範となることが求められる。しかも、衆人環視にさらされ、メディアやSNSで話題にされる。
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