大谷翔平が「世界一」と紹介"もちもち"ヨーグルト 岩手・岩泉ヨーグルト 誕生秘話と苦難を聞く
ところが工場を増設し、勢いに乗っていた2016年8月末。「まさにこれからってとき」(山下社長)に、台風10号の影響で岩泉町に記録的な大雨が降り、工場の裏を流れる河川が氾濫、町内で24人の犠牲者を出した。
この大雨で工場の敷地一帯が3mほどの高さまで水没し、壊滅的被害を受けてヨーグルトの生産は停止。「さすがにもうだめかもしれないと思いました。工場の泥出し作業をする社員たちにいつ、会社を閉めると言い出せばいいのか、そんなことを考えていました」。
全国からの激励で再建を決意
心が折れかけた山下さんを再び立ち上がらせたのは、岩泉ヨーグルトの復活を待ち望む全国からの声だった。全国から1,000通以上の手紙が届き、県内のラジオ局にも山下さんや社員に宛てた応援のメッセージが寄せられた。
中でも胸を打たれたのは、神奈川の介護施設で暮らし、通販でヨーグルトを購入している女性からの手紙。
「自分は高齢でいつまで食べられるか分からない。ヨーグルトを待ち望んでいる人たちのためにがんばってほしい」と達筆で記されていた。「全国に岩泉ヨーグルトを心待ちにしてくれている人がこれだけいるのだと知り、もう一度やるしかないと腹をくくりました」。
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