五輪前に「パリのホームレス」が連れていかれた先 パリを追われた人々を追跡してわかったこと

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「乗車券はランダムに渡された」とバスに乗っていた中央アフリカ共和国出身のウマール・アラミンは話した。「それがオルレアン行きのチケットなら、オルレアン行きということさ」。

マクロン政権はコメントの求めに応じなかった。ただし政権は、これは危機的なパリの住宅不足を和らげることを目的とした、自主的な取り組みだと説明している。

私たちはこの取り組みがどう進められているかを調べるため、パリを追われる人々を追跡した。

マクロン政権が移民をバス輸送する背景

パリとその周辺に住む10万人のホームレスはフランス全体の半分を占め、収容施設が足りなくなっていることから、フランス政府は昨年、全国に一時的な収容施設を10カ所設置した。

政府は、バス輸送がオリンピックに関連したものであることを否定している。しかし私たちは、フランスの新聞『レキップ』によって最初に報じられた電子メールを入手。その中で政府の住宅問題担当者は、「オリンピック会場付近の路上にいる人々を特定し」彼らを大会前に移動させることが目標だと述べていた。

オリンピックの中心となるセーヌ・サン・ドニ地区は、およそ3人に1人が移民という、国内で移民比率が最も高い場所だ。政府は同地域の再開発に数十億ドルを投じている。

警察は昨年、ホームレスが住む野営地や廃墟に対する取り締まりを強化した。警察によると、市の職員と協力して立ち退きを行い、移住を支援するものだったという。

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