五輪前に「パリのホームレス」が連れていかれた先 パリを追われた人々を追跡してわかったこと
「彼らは住む場所と社会的な支援の提供を約束してくれた」。シャルル・ド・ゴール空港で飛行機の清掃をしているスーダン出身のユスフ・アフメドはそう言った。
だが移民の多くは、自身が難民に該当するか審査され、場合によっては強制送還される政府のプログラムに組み入れられるということを知らなかった。このプログラムは何年も前から存在していたが、今回の立ち退きによって何千という人々が新たに巻き込まれている。プログラムに組み入れられた移民の多くは、難民資格を満たしていない。
例えば、アフメドは難民認定されており、プログラムの恩恵を受けることはなかった。一方で、バスに乗る以外に選択肢はないと思ったと話す人も複数いた。
「警察官がやってきて、取り囲まれたからだ」とアラミン。
ほとんどは知らない町で再びホームレスに
ホームレスの人々は新しい都市に到着後、最大3週間を収容施設で生活し、難民資格の審査を受ける。資格のある人は難民申請を行い、その間、長期にわたって住居が提供されるが、一時的な収容施設に入る人々の約60%は長期的な住居を得られない。
実際に、何人もが強制送還命令を受けていることから、バスに乗らずに路上生活に賭けるよう促す弁護士もいる。パリ近郊で活動する弁護士エマニュエル・ペレイラは、「これは強制送還への控え室だ」と指摘する。
ほかの移民たちは通常、またしても立ち退きを迫られる。緊急用の住宅が不足しているため、ほとんどの移民はすぐに新しい都市でホームレスとなってしまうのだ。
パリ以外の市当局者らは、この取り組みに関する相談はなかった、と語った。