東芝株、特設注意市場銘柄へ移行の見通し 上場廃止は当面回避の公算
ただ、東芝株が上場廃止になる可能性はゼロというわけではない。今年に入って、初めて特設注意市場銘柄から上場廃止になるケースも出た。
その第1号となったのは京王ズホールディングス。特設注意市場銘柄への指定後も、問題となった元代表取締役への不正な資金流出を続けるなど内部管理体制の改善がみられないと東証が判断し、上場廃止になった。
もう1社は、石山Gateway Holdings<7708.T>だ。証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反で法人と旧経営幹部を刑事告発する事態に発展し、上場廃止が決まった。
特設注意市場銘柄の位置付けは、上場廃止の手前の措置だ。内部管理体制に改善が見られなかったり、経営陣のみならず問題企業が「法人」として刑事告発された場合には、東証は当該銘柄を上場廃止に踏み込む可能性がある。
東芝、法人として刑事告発の有無が焦点に
東証による特設注意市場銘柄への指定やその後の改善状況の監視は、取引所として「自浄作用」を発揮し、マーケットの信用を維持する仕組みだ。
東芝は内部管理体制の再構築が急務となるが、特設注意市場銘柄に指定されてから原則1年以内に内部管理体制の改善がないと判断されれば、上場廃止になる。
もう1点は、法人としての東芝が刑事告発されるかどうかだ。第三者委員会の報告書は「いくつかの案件においては、コーポレート(社長、事業グループ担当執行役などの総称)の経営トップらまたは社内カンパニー(自主経営責任を負う東芝の事業部門)のトップらが、『見かけ上の当期利益のかさ上げ』を行う目的を有していた事実が認められる」として、田中社長ら歴代経営陣の責任に言及した。田中社長らの刑事告発に発展するかどうか、その点も今後の焦点の1つになる。
東芝が「法人」として刑事告発されれば、東証は上場規程に則って「公益性」や「投資家保護」の観点から上場廃止の是非を議論することになる。
(和田崇彦 編集:布施太郎)
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