ソニー、パラマウント買収ならず業界が安堵の訳 買収合戦に競り勝った41歳大学中退男の正体とは?
結局、最初から優勢と見られていたスカイダンスに決まったことに、業界の多くの人々は安堵を感じている。業界人にとって一番の懸念は、もしソニーが買収したら、ハリウッドにおけるメジャースタジオがひとつ減ってしまうことだった。
それはつまりトータルでの製作本数やアイデアの売り込み先が減ること、そして大規模なレイオフを意味する。また、スカイダンスはパラマウントと製作パートナー契約をし、最近の『ターミネーター』や『ミッション:インポッシブル』、『トップガン マーヴェリック』を製作してきたことから、ジェームズ・キャメロンをはじめとする大物業界人の間からも、スカイダンスを支持する声が聞かれていた。
CBSの問題も大きい。ソニーは日本企業なので、アメリカのメジャーネットワークを所有することはできない。もちろんソニーとアポロもそこは最初から認識しており、CBSに関してはアポロが所有する計画だったが、パラマウントの会長シャリ・レッドストーンは、父が築いた巨大なメディアカンパニーを分割するのは理想的でないと考えていたようだ。
さらに、1980年代後半にコロンビア・ピクチャーズを買収した時に大きな金額を払いすぎたと思っているソニーが、この買収にやや慎重になったとの報道もあった。
41歳でメジャー映画スタジオのトップに
今回の買収合戦に勝ったスカイダンスを率いるデビッド・エリソンに対しては、彼の父でシリコンバレーの大企業オラクルの創設者ラリー・エリソンも、大きな投資を約束してきた。総資産1793億ドルと言われるラリー・エリソンがかかわることで、資金源が安定するだけでなく、テクノロジーにより力が入れられるようになることも、内部の関係者やそれ以外の業界人から、ポジティブなことと受け止められた。
そもそもデビッド・エリソンはまだ41歳だ。そんな若い人がメジャースタジオのトップに立つというだけでも、業界の空気が多少なりとも変わるのではないか。とはいえ、メジャースタジオと製作契約を結んでいたプロダクション会社のひとつがそのメジャースタジオを買収することも、歴史あるスタジオのトップが突然にして41歳の男性になることも、稀な話である。そもそも、彼はどんな人物なのか。
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