安保法案、「与党分裂参院」で波乱は起こるか

「強行採決」の代償は小さくない

支持率下落の主原因は安保関連法案だが、これを諦めるわけにはいかない。しかしこのままずるずると支持率を下げてしまうと、9月に予定されている自民党総裁選で波乱が起りかねない。圧倒的な強さで無投票に持ち込みたい安倍首相としては、ここでなんらかの手を打つ必要があるわけだ。

その手段として考えられるのが解散総選挙だ。世論は移ろいやすいので、選挙というイベントを立ち上げることで安保関連法案の悪いイメージを忘れさせようという魂胆だ。さらに野党の支持率が極めて低い「1強多弱」という現状では自民党は負けようがないという点も、解散説の根拠となる。

つい直近には、見事な実証例もある。たとえば朝日新聞の調査によると、前回の衆院選直前の2014年11月には内閣不支持率が内閣支持率を上回っていたが、それでも安倍自民党は絶対安定多数を越す291議席を獲得しているのだ。

「国民の理解が進んでいない」

だが何度も幸運が訪れる保証はない。実際に安保関連法案が審議不足との声が野党のみならず与党にも広がっている。石破茂地方創生担当相が14日の記者会見で、「国民の理解が進んできたという自信は私にはない」と発言。安倍首相も15日の同委員会で、「残念ながら、まだ国民の理解は進んでいる状況ではない」と認めている。

15日午後1時半から開かれた衆院議院運営委員会理事会。民主党の理事を務める笠浩史氏は、「総理自身が国民の理解が進んでいないことを認めている」と述べ、法案の差し戻しを求めた。さらに少数政党も議論に参加できるように自民党の議席を一部譲る話が立ち消えたこと、安保関連法案はもともと11本の法案であるため、113時間の審議を尽くしても1本あたりの審議時間が少ないなど数々の問題点を挙げている。

しかし午後2時半に再開された同理事会で、林幹雄委員長は職権で16日に本会議を開き、法案採決することを決定。これに反発した民主・維新・共産・社民・生活の野党5党は午後3時に党首会談を開き、政府案の採決については「不参加」で合意した。

ただし民主・共産・社民の3党は採決時に退席し、維新の党は単独提出法案の採決後に退席。生活の党は討論・採決ともに欠席するなど、それぞれの行動に各党の思惑がにじみ出る。「少数会派にもいろんな意見がある」と、その直後のぶら下がりで岡田克也民主党代表が述べたように、野党だからという理由だけで一枚岩になれるわけではない。

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