プロトンの再建に成功した吉利は、DRBハイコムとの協業をさらに拡大しようとしている。その中核がAHTVプロジェクトにほかならない。両社は2023年12月、AHTVの建設を担う合弁会社の設立計画に合意。ただし、吉利は合弁会社に対する出資比率を明らかにしていない。
吉利の説明によれば、同社はプロトンの既存事業をベースに生産能力を増強することで、AHTVの建設と運営を担っていく。一方、DRBハイコムは主に開発用地の確保やインフラ整備を担当するという。
将来はAHTVの生産能力を活用し、海外の(タイ、インドネシア、オーストラリアなどの)右ハンドル市場にプロトン車を輸出する。また、吉利の傘下にある複数ブランドの車種をAHTVで生産することも検討中だ。
「AHTVでは日本メーカーや韓国メーカーの(海外進出の)経験に学び、研究開発の現地化に取り組むとともに、部品から完成車に至るサプライチェーンを作り上げたい」。プロトンの李CEOはそう意気込む。
奇瑞もマレーシアに進出
ここ数年、中国の自動車輸出が急拡大したことに伴い、(輸出先の国・地域との)貿易摩擦が過熱している。中国メーカーが海外市場でシェアを伸ばすためには、輸出から現地生産への転換を急がなければならない。
その点、東南アジアは自動車市場の成長余地が大きく、中国企業の進出に対して(欧米諸国よりも)開放的だ。こうした投資環境を好感し、多数の中国メーカーが最初の海外工場の建設地に東南アジアを選んでいる。
例えば、国有中堅メーカーの奇瑞汽車(チェリー)はマレーシアのシャー・アラムに工場を建設。6月18日に開催したラインオフ式典には、前出の金壮龍・工業情報化相が出席した。
奇瑞汽車の新工場は、貨物取扱量が東南アジアで(シンガポールに次ぐ)第2位のケラン港に近い。同社はこの地の利を活かし、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域への輸出拠点に育てる計画だ。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月19日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら