資産運用しない高齢者を待ち受ける悲惨な未来 穏やかで豊かな老後生活を送ることはできるか

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インフレも年3%とシミュレーションしたが、現在の国際情勢や資源価格の推移などを考えると、それで済むのか、という懸念がある。とりわけ、日本経済が高齢化社会の進行と海外からの労働力をあてにできない状況を考えると、慢性的な人手不足に悩まされることになり、経済成長があまり望めない。

加えて、低いエネルギー自給率と食料自給率を考えると、3%をはるかに超えるインフレが予想される。ある程度高いインフレ率を想定しておいたほうがよさそうだ。定年退職後のリタイア世代は、リスクのある資産運用からは距離を置きたくなるのもうなずけるが、超高齢化社会の進行で、公的年金や企業年金の給付額がどんどん増えていくことはほとんど期待できない。

言い換えれば、資産運用しない高齢者世代は、よほどの資産家は別だが、じり貧になっていく可能性が高いということだ。少なくとも、保有している資金を株式や投資信託などに投資して、自分の資産を守ることで、自分の老後の生活水準を守るしかないということだ。

積み立てを続けることで資産を防衛する?

では、具体的にどうすればいいのか。資産運用の知識はちょっと勉強したぐらいで簡単に身に付くものではない。金融マーケットには魔物が住むと言われており、とりわけ現在のような瞬時に情報が世界中に駆け回る環境では、そう簡単に運用で利益を出すことはできない。いまや、相手はAI(人工知能)の時代だ。

理想的なのは、運用をプロに任せることだが、それにはある程度まとまった資金が必要かもしれない。ただ、最近ではロボットに運用させる運用機関もある。少ない金額で、市場に参加できる。

いずれにしても、大切なことは長い時間をかけて、ゆっくりと資産運用のノウハウを身に付けていくことだ。そのためには、例えば月額1万円でもいいから、株式や金などに投資する投資信託やETF(上場投資信託)を積み立てていくことで、資産運用の概要を知ることだ。一気に扉を開けるのではなく、少しずつ広げていく。

高齢者であってもつみたてNISAを活用するのも、ひとつの方法だろう。いま注目されている、アメリカの「S&P500連動型ETF」や世界中の株価に分散投資する「オールカントリー」といった投資信託で、つみたてNISAを活用するのもひとつの方法だ。「純金」を積み立てていくのもいいかもしれない。若者と違って大きな失敗は許されないから、ギリギリ失敗しても仕方がない範囲でスタートさせるべきだ。長い老後の生活では、資産運用の知識やノウハウが必ず役に立つはずだ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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