資産運用しない高齢者を待ち受ける悲惨な未来 穏やかで豊かな老後生活を送ることはできるか
アメリカや他の先進国では、老後を生きるための重要なスキルとして、資産運用が用いられているのだが、日本では高齢者が資産運用に拒絶感を持つ傾向にある。こんな状況では、自分自身に何か起きたときに対応できないばかりではなく、日々の生活さえも、困窮を極めてしまうかもしれない。
すでに、日本人の多くは急激に進んだ円安のために、海外旅行も自由にできなくなった現実を認識している。円安の進行は、今後も止まる気配がなく、1ドル=163円というラインを超えてしまうと、プラザ合意前の1ドル=250円程度にまで一気に進行してしまうのではないかとさえ言われている。インフレが、今後も継続することは間違いないだろう。
さらに、野菜や肉などの食料品価格も天候不順による不安定な供給状況によって、価格が上昇する傾向が高まっている。高齢者も年金以外の収入を確保しなければならない状況に追い込まれているわけだ。
資産運用しないと年3%インフレで預金の価値は半分に?
そこでクローズアップされているのがNISAなどの制度を使った資産運用のテクニックだ。現在、老後を迎えている人間の多くは、バブル崩壊を経験しており、株式や投資信託への運用で痛い目に遭った人間が多いのも特徴のひとつだが、それでもこれからの時代には、高齢者であっても、資産運用のノウハウを身につけておくことが求められる。
たとえば、高齢世帯の貯蓄額の目安として取り上げられていた「2000万円」という金額だが、2000万円あれば、公的年金を中心とした定期収入で、その不足分を補いつつ生活していけるのではないかと言われた。しかし、2000万円という貯蓄もインフレになれば、その価値は年々目減りしていく。実際に、2000万円の預金を金利ゼロで放置した場合、年3%インフレが20年続いた場合、その実質価値は次のように目減りしていく(AIなどを参考に算出)。
●5年後……1724万円
●10年後……1487万円
●20年後……1107万円
つまり、預金金利がまったくつかなかった場合、2000万円だったお金の価値は、実質的には1100万円の価値しかなくなってしまうことを意味する。仮に、預金金利がついたとしても、日銀が大量の国債を保有している現状では、金利を引き上げられないという現実がある。実際に、日銀が年2.8%に金利を引き上げた場合、日銀は「債務超過」に陥るという試算もある。
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