資産運用しない高齢者を待ち受ける悲惨な未来 穏やかで豊かな老後生活を送ることはできるか

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10年前の予想では、2025年には3500万人の高齢者人口になるとされていたのだが、2023年1月1日現在の高齢者人口は、すでに約3617万人(総務省統計局、2023年6月の概算値)となっており、総務省の人口推計を超えている。ちなみに、認知症の高齢者の数も約320万人と想定されていたのが、2025年には約675万人になるだろうと指摘されている(「2025年問題とは|与える影響や対策を社労士が分かりやすく解説 朝日新聞SDGs ACTION! 2023年8月1日配信)。

社会保障費の負担増が大きな問題に

10年前と比べて、いかに高齢化社会が急速な勢いで進行しているかがわかるはずだ。つまり、これからの日本は爆発的に増えてしまった高齢者と共存する運命にあり、日本経済全体は無論のこと、我々自身もそれなりの準備をしていかなければならない。急速な高齢化社会の進行による影響をいくつかピックアップすると次のようになる。

①医療費の増大
②介護保険財源の逼迫
③労働力不足の深刻化
④人口急減による税収不足
⑤高齢者の貧困化

やはり、医療費や介護費といった社会保障費の負担増が大きな問題になることは明らかだ。たとえば、医療費は2020年度の支出で医療の個人サービスや予防接種・健康診断等などの費用として、約60兆5208億円のコストがかかっており、さらに、老齢年金や介護保険等の介護サービスにも約48兆7809億円のコストがかかっている(2021年度「社会保障費用統計」政策分野別社会支出より)。

今後、こうした高齢者のための社会保険料が大きく増加することは間違いない。政府は、2024年度の予算では112兆円の歳出額のうち、社会保障費として全体の3分の1に当たる37兆円を支出しているが、今後はこの金額がどんどん増えていくことになるはずだ。

一方で、政府は財政の再建にも取り組まなければならず、国民へのサービスを低下させざるを得なくなる。同時に、国民への負担を増加させていく政策をとるしかない。結局、適切な医療サービスや介護サービスを受けられない高齢者が急増することになる。

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