「紳助騒動」でも明らかになった吉本興業の非上場化メリット、“行儀悪い”非上場化に株主からの訴訟も
DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法で計算すると評価はいくら、ということは開示するけれど、その根拠となる将来キャッシュフローや割引率は一切開示しないのである。
「その開示拒否のかたくなさは尋常ではない。会社側は評価書を発行する会社と締結している守秘義務契約をタテにとって抵抗する」(会社法の専門家)のだが、いったい誰の何に対する守秘義務なのか。
ディスカバリーという証拠開示義務の制度がある米国では、上場会社のTOBの際に評価書を開示しないで済ませるなどということは到底通用せず、ここが日本と米国の株主保護機能の決定的な差と言える。
あまりにもかたくなに開示に抵抗されると、そんなに都合が悪いことが書いてあるのかと疑いたくなるのが人情である。
キャッシュアウトの実務は、非上場化需要が急増していることもあり、近年のM&A実務において重要な位置を占める。
今回、裁判所が株主からの求めに応じて、会社側に開示命令を出すようなことがあれば、日本のM&A実務に絶大な影響を及ぼす可能性を秘めているのである。
(金融ジャーナリスト 伊藤歩 撮影:今井 康一 =東洋経済オンライン)
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