ニッチを攻める京セラ「法人向けスマホ」のすごみ 専用アプリで医療現場の"働き方改革"にも照準

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今回、打ち出したコンセプトは「脱専用デバイス」。読み取り機や決済端末、トランシーバーなどの機器をスマホで代替できるようにした。病院で例えると、ナースコールの対応や電子カルテの操作、患者や医薬品の認証などが1台で完結する。

DIGNO SX4には、端末に不調があるとき、内蔵している部品に異常がないかをその場で簡易的に調べられる自己診断機能も搭載した。故障によるダウンタイムを未然に防げる。7月から月額制の補償サービスも始める。法人向け端末が落下や水没などで故障した際には無償で交換機を届け、顧客の業務遂行を支える。

【2024年6月25日13時12分追記】上記のDIGNO SX4の端末の説明に誤りがあり修正しました。

法人向け割合80%へ

京セラはスマホ単体の業績や目標値を公表していない。ただ、通信機器事業を含む「コミュニケーション」セグメントの2023年度売上高は2244億円。これを2025年度には2700億円まで伸ばす方針だ。

運送や建設業などで使われている高耐久スマホ(記者撮影)

一方で同セグメントの損益は、スマホの出荷台数減少や在庫評価減などが響き、2022年度に117億円の赤字に転落。2023年度は69億円へ黒字復帰したものの回復途上にある。

同社によると、個人向けスマホは一部機種を除いて2024年度中に終息する見込みだ。通信機器事業の売上高に占める法人向けの割合は、2025年度には約8割になるという。

DX化が遅れているとされる医療現場。そこに割って入り、新たな需要をつかめるのか。京セラスマホ復活の成否は、この新機軸に懸かっている。

石川 陽一 東洋経済 記者

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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

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