石田衣良は、なぜ出版業界に絶望したのか

「小説家と過ごす日曜日」に込めた思い

――人生相談コーナーではファンから寄せられた10問の質問に答えています。このコンテンツはひとつの目玉と言えそうですね。

たとえばアイドルの握手会に近いですかね。手をつないでいる間は、自分のためだけに時間を使ってくれる……。同じように、「自分のためだけにその時間は真剣にあれこれ考えてくれる」と感じてもらえるのではないでしょうか。パーソナルなコミュニケーション感というか、接触感というのが大事だと思います。

女性からの恋愛相談が今のところすごく多いんですよ(笑)。そういうのももちろん好きですが、男性や子どもさんからの相談も大歓迎です。仕事に関するものや、青春の悩みとか。転職の相談なんかいいんじゃないですかね。

今はどんな仕事もかなり大変ですし、働き方がバラバラになりました。これを選んでおけば安全だという道が意外とないんです。また、たとえば、大企業であったり公務員であったり、安全そうなところでも、仕事の権限が削られていますよね。だから日本でこれをやっていれば安全で、仕事も楽しくできるんだよという幸運な職場が減っている。働き手の悩みは深いと思います。

女性はマコトではなく圧倒的にタカシ派

――時代性のあるテーマを作品で取り上げることが多く、テレビでも時事問題を得意としていますね。ニュースソースは何でしょうか。

新聞なら日経と朝日ですし、週刊誌もいくつか読んでいます。ネットのニュースもよく見ていますね。僕はマーケットが趣味で好きなので、ロイター、ブルームバーグと並んで、東洋経済オンライン、電子版の日経新聞を見ています。あとは新しいところでCNNのサイトでしょうか。

――小説の着想を得ることもありますか。

何がネタになるか、わからないんですよね。本当に変な情報が気になったりします。最近も、ある資料で美容整形の市場が、年間2000億円あると書いてあったんです。美容整形って片目だけとかだと7000〜8000円でできるのに、2000億円を稼ぐって、いったい何十万人が整形しているんだという話になるじゃないですか。そんなことを調べていくと、また面白い。

「毒舌で、とんがっていて、好きなことを勝手に言っていいというキャラなので、マコトにしゃべらせると楽です」

――そういったお話が、今後、エッセイに登場するかもしれないわけですね。ところで、エッセイではデビュー作である「池袋ウエストゲートパーク」の主人公マコト君と、石田さんが、同じテーマについてダブルで語っています。同シリーズは10冊、年数にして9年ぐらい続いていることも考えると、マコト君に愛着があるのでしょうか。

愛着というよりは、マコトにしゃべらせると楽なんですね。マコトは毒舌で、とんがっていて、好きなことを勝手に言っていいというキャラです。僕がエッセイを書いて、その裏でマコトなりの意見でちょっと突き放して描くというのをやっているんです。

――とは言っても、マコトもシリーズを通してどんどん成長しています。やっぱり、いちばん人気があるキャラクターですか。

作品のなかでは12〜13年経っていますし、マコトも年をとりましたね。マコトはキャラとして本当にいいヤツだと思うんですが、女性に言わせると圧倒的にタカシだそうです。これは、中国や台湾でも同じですね。タカシはストリートキッズのトップに立つクールな美形、という役回りですが、僕に言わせれば記号として登場させているので、性格はあまりよくわからないのに(笑)。女の子って本当に顔しか見ていないですよね。

――8月からスタートする「普通の女子の愛と性」というコンテンツにも興味津々です。

男性向けの記事がどうしても増えてしまうと思うんです。そこで女性に楽しく読んでもらえて、男性読者の興味も引くような、キャッチーな女性ネタがほしいということで、企画しました。毎号ひとり、匿名で若い女性に来てもらって、女友達にも話していないような恋愛や性の秘密に関して、ちょっとインタビューをするというやわらかい記事です。

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