あらゆる表現の基本は「疎密」です。芸術鑑賞において大事なのは密度の変化を見ることで、絵画なら色彩の強弱、音楽なら低い音が反復された後に突然鳴る高い音などはそれに当たる。そして疎密の面白さは芸術にとどまらない。家具の配置や空間の使い方、人がしばらく黙ってポツリと話し始めたときに出る妙な説得力。あらゆる場で展開される疎密のリズムに敏感になることが、センスを磨くことにつながるのです。
美術史を学ぶのとは別の方向で、センスを磨くことは仕事にも役立ちます。ビジネスの場では、目的志向でプレゼンするだけでなく、会話のちょっとした脱線なんかが実は人間関係の構築に重要だったりしますよね。
芸術を鑑賞するときの「この絵はバランスが整っているだけじゃなくうまく崩している部分もあるな」という面白さと、コミュニケーションにおける「この人はまじめなだけじゃなく、面白い特性を持っているな」という感覚には通じるものがある。芸術と生活はつながるし、芸術と仕事もつながる。
──作品への向き合い方としては「鑑賞」のほか、昨今漫画やアニメ、歌詞などの「考察」も盛んです。
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