「一軍」目指し整形に向かう中高生増加の背景 まるで違う顔も、広がる過剰なルッキズム
無邪気に発せられた一言が思春期の心にぐさりと刺さった。
「ブタ、ブタ」
東北地方に住む女性(40)は、10代の頃に兄弟や従兄弟から何度もそう繰り返されたことが忘れられないでいる。どれだけ嫌だと伝えても、やめる気配はなし。もともと感じていた体形へのコンプレックスが、さらに強くなった。
「同級生に言われることもつらかったけれど、それ以上に一番身近な親族にからかわれることが一番こたえました」
大人になってからも引きずってしまい、人前でうまく話せないことが何度もあった。最近になってようやくトラウマは薄れていったが、思いは切実だ。
「子どもの頃は自分のいる世界が狭く、同級生や大人の言葉に傷つくことが多くありました。その時に受けた容姿への評価が大人になっても影響すると知ってほしい」
見た目や容姿で人を判断することを「ルッキズム」という。外見至上主義とも訳され、SNSの発展で急速に広まったともいわれている。
まるで違う顔になっている、二重整形する生徒が増加
AERAが5月中旬に実施したアンケートでは「ルッキズムという今まで形容できなかったことが、言葉として出てきたことがいい」(40歳・女性)という意見もあったが、多感な若い世代ではルッキズムが過剰になりがちなようで「(子どもたちから)『自分はブスだから努力してもしょうがない』『一軍にはなれない』という言葉をよく耳にする」(小学校教諭・27歳・女性)という声も寄せられた。
プラン・ユースグループが2022年に実施した意識調査では、15歳から25歳までの女性の56.2%が「SNSをきっかけに自分の容姿に関心を持った」と回答。「友人との会話」や「雑誌、テレビなどのメディア」を上回る結果で、SNSの影響力の大きさが浮き彫りになった。
Xやインスタグラムなど、多くのSNSには過去の閲覧・検索履歴に応じておすすめの投稿を表示させるアルゴリズムが取り入れられている。欲しい情報に簡単にアクセスできる半面、自分の容姿が気になり始めると、そればかりに固執してしまうリスクは大きい。