地方はどうすれば「横並び」から脱出できるか 「プレミアム商品券」では地方は生き返らない

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オガールの成功にはいくつも要因がありますが、なぜ「地元人材に適合した絞り込み」で成功していると言えるのでしょうか。

まず、絞り込みを行ううえで注意すべきは「他でこういう分野に特化した取り組みが成果を上げた」などといったことをパクって、その上で絞り込みをしても無意味ということです。それこそ横並びモデルの踏襲なのです。

地元人材が、練習に特化したバレーボール施設を作った

重要なのは、絞り込みは極めて、いわば「内発的な資源」に基づいて行われなくてはならないということです。

全国一律に税金で整備されてきた体育館の多くは、どんな競技でも使える反面、どんな競技でも最適ではない多目的体育館ばかりです。

しかし、オガールアリーナは、コートの仕様などでバレーボールの国際基準に適合した特殊設計を施し、特化しました。さらに、試合をする施設ではなく、練習専用に特化したものになっています。その結果、岩手県紫波町という相対的に不利な立地にもかかわらず、なんと全国各地から中学生からプロまでの練習需要を取り込み、フル稼働しています。さらにその集客を活かして、合宿施設として併設したビジネスホテルの稼働率も高めています。

これは、同施設の社長も務める地元出身の岡崎正信氏が、バレーボールの指導者も務め、プロチームを含めて多方面に営業ができる人材だからこそ成立している絞り込みです。人材の営業力をベースにして特化型施設にすることで、多目的施設よりも多くの人を全国から集めることに成功しています。

次に、環境変化に適合して絞込みを行っているケースをご紹介しましょう。ここでは観光ビジネスで成功している、広島のある複合施設をとりあげます。

地方の観光を売り出す場合、確かに「ウチのまちは◯◯のまち」という江戸時代から続く伝統的な文脈も大切です。しかし、それに固執しているだけでは、横並びモデルの踏襲です。なぜならば、地元の歴史や昔話をもとにした観光事業はどこにでもあるからです。

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