ビッグモーター問題でオリコとジャックスに明暗 オートローン取扱高1兆円を挟んでの攻防戦

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そうした中でもオートローンの取扱高を伸ばせたのは、歴史的な円安によるところが大きい。

ジャックスは輸入車マーケットのオートローンで群を抜く強さを持っている。前期は物価高と円安によって輸入車の価格が上昇し、購入者のローン利用額も増加した。地方の中古車販売や国産ディーラーでの取り扱いも拡大したことで、ビッグモーターの落ち込み分を打ち返した。

だが、今期は2010年3月期以来15年ぶりに前期比での落ち込みが予想されており、オートローンの取扱高は1兆円を割る見通しだ。

事業を手放したビッグモーターからの持ち込みがゼロになるのはもちろん、その事業を伊藤忠の元で引き継いだ「WECARS」(ウィーカーズ)との取引は現在のところ予定されていない。ダイハツの不正問題の影響も相応の押し下げ要因になっている。

今期はオリコが1兆円突破の見通し

一方、業界首位の座を明け渡したオリコは今期の取扱高が大きく伸びる計画で、今度はオリコが1兆円を突破する見通しだ。

ビッグモーターとは「3番手のお付き合い」(飯盛徹夫社長)だったため、取引停止の影響はジャックスほど大きくない。

逆に伊藤忠はオリコと資本業務提携を結ぶ同盟企業だ。WECARSではオリコのオートローンが優先的に扱われるとみられ、ビッグモーター問題はむしろポジティブ材料へと変化する。

オリコとジャックスのオートローン取扱高

2024年3月期は、割賦事業の採算改善の取り組みや金利上昇を背景とする加盟店との条件交渉によって「想定以上の『オリコ離れ』が進んだ」(コーポレートコミュニケーション部)。その結果、オートローンの取扱高は前期比7.3%減の7911億円にまで落ち込んだ。

しかし、今期から連結化したオリコプロダクトファイナンス(旧イオンプロダクトファイナンス)の取扱高も加わることで、今期は前期比36%増の1兆735億円まで伸びる計画になっている。

今年度の中古車マーケットは流通量が回復すると見込まれる一方で、新車の納車遅れの問題などが改善されたことから「中古車価格は下落すると想定」(同部)される。

引き続き不安定なマーケット環境が続きそうだが、オートローン市場ではオリコが再び業界首位の座に返り咲く公算が大きくなっている。

北山 桂 東洋経済 記者

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きたやま かつら / Katsura Kitayama

1975年群馬県生まれ。日本農業新聞や博報堂アイ・スタジオ(コピーライター)、「週刊金融財政事情」編集長などを経て、2024年4月東洋経済新報社入社。

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