レクサスのミニバン「LM500h」本命6人乗りの中身 単なるアル/ヴェルの豪華版ではない仕上げ方
「今回、導入した6人乗りのバージョンLは、ビジネスシーンにおける送迎など、LMというモデル名は共通でも、使い方に広がりを持たせるためのモデルです」
3000mmのホイールベースを持ち、独立したシートが6人分。特に2列目シートは、大きな角度(最大約70度)でバックレストが倒れ、停車中に身体を休められるのがセリングポイントだ。
この2列目シートは、電動あるいは手動で前後スライドが可能。最大480mm後ろに下げてオットマンを展開させれば、足元もゆったりと休ませられる。ただし、レクサスでは、走行中はアップライトで座ることを安全性の面から推奨したいと、この機能を大々的に宣伝してはいない。
実車に接して驚いたのは、2列目シートのスライド機構。2列目に座ってシート位置を調整するときはゆっくり動き、車外からシートアレンジのためにスライドさせようとスイッチ操作すると素早く動くという、気の使いよう。
さらに、スライド用モーターとスライド機構のクラッチは切り離されているため、手動でも前後させることができる。凝りに凝っている。
2列目のシート自体には、特性の異なる2種類の衝撃吸収材と柔らかな表皮(Lアニリンなるレザー)を使用。路面入力によるシートの揺れを抑えるため、クッションフレームとレッグフレームの間に防振ゴムを設定し、振動を大幅に低減したという。意外な驚きは3列目シートだ。
タイヤハウスがあるため室内幅が限られているうえ、シートを格納する跳ね上げ機構が組み込まれているため、さすがに2つの席のあいだに余計な空間はないものの、シート自体は幅がありクッション性もしっかり。期待以上の快適性を持っていた。
生産は田原工場の少量生産ラインで
プラットフォームは、アルファード/ヴェルファイアと共用だが、このあたりの快適さは独自のものがある。LM500h バージョンLの発売を待つ間に、アルファード/ヴェルファイアに流れてしまった人もいるようだが、「プラットフォームを共有しているからといって同じクルマではない」と、前出の落畑主幹は言う。
「開発コンセプトは『素に戻れる移動空間』。つまり、ゆったりとした気分でいられるな移動のために静粛性と乗り心地を磨きあげたのが、6人乗りのバージョンLです。ボディの骨格はアルファード/ヴェルファイアと共通部分が多いですが、愛知県の田原工場の少量生産ラインで溶接や接着などを丁寧に仕上げています」
乗員の身体の動きを徹底的に調査することが肝要だとして、モーションキャプチャーをもとにしたデータ解析と熟練テスターの感覚を頼りにした官能評価を繰り返したという。
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