米中戦争は、ますます現実味を帯びてきた

「ゴースト・フリート」に描かれていること

スイスアーミーナイフには、さまざまな機能がある。まるで、そんな万能ナイフのような兵器システムの導入を推進しているのが、今の米国防総省だ。この強迫観念にさいなまれた最新兵器の欠陥により、中国に対する最初の主な戦いで手痛い負けを喫する。

小説の中で、中国は、かつての真珠湾攻撃を彷彿とさせるような奇襲により戦端を開く。ところが、この奇襲攻撃に直面して、派手な沿岸域戦闘艦と格納庫一杯のF-35Sは、海南島からやってきた中国軍を撃退することができなかった。

F35は、まだ開発途上だ

撃退できなかったのはなぜか。奇襲攻撃だったことが一因だが、多くは技術そのものに起因する。沿岸域戦闘艦とF-35Sは、実戦でのテストがなされていない兵器システムで、膨らみ続ける開発予算など、恐ろしい問題に悩まされる。

さらに悪いことに、両者ともコンピュータにあまりにも依存し過ぎている。特にF-35は、多くの武器専門家が冷笑の的にしている。F-35の銃は、いまだに撃つことができない。なぜなら、ロッキード・マーティンがそのソフトウェアを書いている最中だからだ。飛行機を飛ばすために必要な60万ドルのヘルメットも、意図したとおりに動作するように至っていない。また、少なくとも1回、ジェットエンジンが出火している。

これらの問題にもかかわらず、米国防総省は全ての部門でF-35を採用し、これまでの実戦で試された古い兵器(レガシー·システム)を処分している。米国の軍産複合体は、武器の品質を構築するより、高価で新しいシステムの販売に力を入れている。「ゴースト・フリート」は、その軍産複合体がもたらす悪夢のような結果を、私たちに見せてくれている。

F-35が実際の戦闘現場に行くと何が起こるのか。多くの軍事ジャーナリストとアナリストが予測してきた悪夢のようなことが起こるのだ。まずは中国による洗練されたサイバー攻撃によって、このお洒落なジェット機は、飛び立つことさえできなくなる。敵と戦うために必要な弾薬を運ぶこともできないので、中国の戦闘機によって簡単に破壊されてしまう。

その窮地を救うのは、アメリカのゴースト・フリート(幽霊艦隊)だ。米国防総省は、退役していた船舶や飛行機を復活させる。古いF-16とA-10Sがまだ残っており、それらが準備を整えることで、中国を撃退することに成功する。

退役した古いシステムが窮地を救った

F-16やA-10Sは、F-35や最新の沿岸域戦闘艦と比較した場合、あまりにも単純な兵器システムだ。しかし、だからこそ中国はその兵器システムをハッキングできない。単純なコンピュータを使用しているためだ。「ゴースト・フリート」では、古い飛行機が最高の飛行機として描かれる。

とはいえ、F-35の失敗を現実のものとして見たくはない。フィクションだけにしてほしいものだ。

製造業者のロッキード・マーティンは、F-35は十分に信頼性が高いと説明している。メディアからの数多くの批判に応える形で作られた最新の報告書では次のように言明している。

「ジェット機は飛行テストを終えつつあります。そのパフォーマンスは期待に見合うレベル、もしくはそれ以上のレベルです。2016年までの完成を目指しており、克服できない障害はありません」

次ページ米中が衝突する可能性は極めて高い
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 不安な時代、不機嫌な人々
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • フランスから日本を語る
  • iPhoneの裏技
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT