軽自動車の「勢力変化」10年データで浮き彫りに じわじわ進んだダウンサイジングの変遷の中身

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初代N-BOXと3代目となる現行N-BOX(写真:本田技研工業)
初代N-BOXと3代目となる現行N-BOX(写真:本田技研工業)

日本の新車販売にしめる軽自動車の割合をご存じだろうか。

2023年の新車販売台数、約477万台のうち、登録車が約303万台、軽自動車が約174万台。つまり、軽自動車の割合は約36%だ。実に、新車の「3台に1台は軽自動車」なのである(自販連、全軽自協データより)。2023年の販売車種ランキングを見ても、それはわかる。

■2023年新車販売ランキング
1位:ホンダ N-BOX(約23万台)
2位:トヨタ ヤリス(約19万台)
3位:ダイハツ タント(約16万台)

1位の「N-BOX」と3位の「タント」が、軽自動車だ。日本の自動車メーカーは、コンパクトで上質かつ壊れにくいクルマを作ることを強みとしてきた。

加えて、大きなクルマでは走りづらい日本の道路事情、そして、「失われた30年」と言われるように日本人の所得があまり伸びていないことがあり、車両価格だけでなく、税金や保険、燃料代といった維持費がかからないクルマが求められている。

今回の分析対象4モデル(写真:ダイハツ工業、日産自動車、本田技研工業、スズキ)
今回の分析対象4モデル(写真:ダイハツ工業、日産自動車、本田技研工業、スズキ)

これらの条件が重なり合わさることで、日本市場では「大きなクルマから小さなクルマへ」のダウンサイジングが進み、コンパクトカーや軽自動車の人気が高まった。上述した2023年の販売台数で2位となっている「ヤリス」も、コンパクトカーに分類される。

N-BOX、スペーシア、タント、ルークスの10年を分析

そんな背景から、今回は日本の自動車市場における「ダウンサイジングの変遷」を見ていきたい。具体的には直近10年超のデータから、軽自動車の勢力拡大を確認していく。

<分析対象車種・サンプル数>
■ホンダ N-BOX:1万3021名(モデューロXは含まない)
■スズキ スペーシア:5351名(スペーシアギア/ベースは含まない)
■ダイハツ タント:7588名(ファンクロスは含まない)
■日産 ルークス:3767名(デイズルークスを含む)
※いずれも分析対象は2013~2023年の新車購入者のみとする

使用データはいつものように市場調査会社のインテージが毎月約70万人から回答を集める、自動車に関する調査「Car-kit®」を用い、売れ筋軽スーパーハイトワゴンの代表車種をピックアップする。

【写真】N-BOX、スペーシア、タント、ルークス。分析対象4モデルのデザインや内装を見る(40枚以上)
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