日本は円高受け入れへ政策の大転換をすべき

7月21日、EU(欧州連合)首脳会談でギリシャへの追加支援策が基本合意された。8月1日には米国で連邦政府の債務上限引き上げと財政赤字削減について政府と議会の交渉が期限ギリギリで妥結した。しかし、問題そのものは何ら解決していない。

ギリシャにはリスケジュールが適用され、事実上、デフォルト状態に陥った。「3カ月に一度、ギリシャの財政・構造改革を審査するたびにユーロをめぐる騒動が繰り返される。EFSF(欧州金融安定ファシリティ)の枠増額が先送りされたので、市場が再びイタリアやスペインのソブリンリスクを試す展開が予想される」(ニッセイ基礎研究所・伊藤さゆり主任研究員)。

米国は、家計部門が抱え込んだ負債を減らしていかなければならないが、財政には今後10年間で1兆ドル近く、加えて13年以降の10年間で1・5兆ドルの歳出カットという制約が課されたため、調整は厳しいものとならざるをえない。景気と雇用に圧力がかかり続ける。

こうした状況下で円高(ドル安)が進むのは避けられない。しかし、輸出企業の声が大きく円高恐怖症の日本にあっては、すぐに日本銀行の金融緩和や政府の円売りドル買いの為替介入を求める声が出る。

こうしたことはやめるべきだ。構造的要因から円高への流れを変えられないばかりか、さらに産業構造の改革を遅らせる。介入に頼れば政府はドルを追加的に抱え込み、円高が進むことで評価損が膨らみ、国民負担が増す。

ソブリン危機の原因を振り返れば米国発金融バブルだ。欧米でマネーがあふれ返り、それがサブプライムローン証券化商品のデフォルトをきっかけに一気に崩壊した。民間のバランスシート調整を財政出動で支えたために、政府の赤字が膨らんだ。

さらに、バブルの根源をたどれば経常収支の不均衡に行き着く。

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